<南風>脱植民地主義

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 「琉球人は生きている間、米軍基地問題に象徴されるように、植民地支配の犠牲者である。同時に死してニライカナイに行ってからも、日本による植民地支配を受けている」(松島泰勝著「琉球 奪われた骨―遺骨に刻まれた植民地主義」(岩波書店、2018年10月)。

 京都帝国大学の金関丈夫氏が1929年、今帰仁村運天にある百按司(むむじゃな)墓から持ち出した琉球人遺骨が返還されていない問題で、松島泰勝さん(龍谷大学教授)らが、遺骨返還を求め、12月4日に京都大学を提訴する。本紙でも報じられているように、京大は、松島さんや沖縄選出国会議員、新聞社からの同遺骨についての問い合わせに真摯(しんし)に応えていない。この状況を打開するための訴訟だ。

 金関氏が、骨を持ち出したのは百按司墓だけではない。同氏の「琉球民俗誌」(2008年、初版1978年)に、その様子が赤裸々に描かれている。

 例えば、中城城址の洞では、蓋の裏に「道光三、十一月、父比嘉」と書かれた甕棺(かめかん)から、若い女性とその子どもとみられる骨を持ち出している。その際、雨が激しくなったのを「祟(たた)りであろうか」と言っており、遺族や地域の合意がない盗骨であるのは明らかだ。

 これまで、琉球人自身によっても同書は読まれてきた。だが、その非人道的な行為が問題化されることはなかった。それは、私たちの間に植民地主義が浸透している表れではないだろうか。今回の遺骨返還運動と関係なく同書を読んでいたら、私もきっと、読み過ごしてしまっただろう。

 だが、今回の訴訟によって、世界的に広がっている植民地主義の下で奪われた遺骨の返還運動や、脱植民地化を身近な問題と捉えられるようになるだろう。また、琉球人自身が琉球の歴史を改めて見詰め直し、自己決定権について議論するきっかけにもなると思う。

(照屋みどり、しまんちゅスクール代表)