【印エッサール買収】ミッタル・新日鉄住金連合が優位に 債権団、最有力候補に指定

 インド鉄鋼大手、エッサール・スチールをめぐる買収合戦が決着に向けて動きだした。アルセロール・ミッタル(AM)は先週19日夜、エッサールの債権者委員会から再建スポンサーの最有力候補に選定されたと発表。AMや同社と組む新日鉄住金連合には優位な情勢となった。

 インド破産倒産法の下で進められている現在の売却プロセスでは、銀行団など債権者委員会が売却先の候補を選び、司法当局の会社法審判所(NCLT)が承認すれば確定する。一般的には、債権者委員会から選定された候補がそのまま買収に至るケースが多く、タタ製鉄のブーシャン・スチール、JSWスチールのモネット・イスパットといった先に決まった案件はこれに当たる。

 AMは「債権者委員会と最終交渉に入る」としており、順調にいけばこのまま買収が決まる方向だ。ただ競合企業や司法当局の動き次第では決着になお時間を要する可能性がある。

 エッサールは当初、4月末にも買収先が決まる予定だったが、AMやエッサール創業家と組むロシア系ファンド、ニューメタル・モーリシャスの入札資格をめぐって決着が長引いてきた。AMは10月4日に最高裁が下した判断に従い、少額出資していた印薄板リローラー、ウッタム・ガルバ・スチールスなど計746億9千万ルピーの債務を清算することに応じている。

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