高砂熱学とベンカン、アルミ配管向け分岐管継手開発 アルミ冷媒配管の普及目指す

 空調設備施工大手の高砂熱学工業はこのほど、ステンレス配管メカニカルジョイント大手のベンカンと共同でアルミ冷媒配管用の分岐管継手を開発したと発表した。すでに製品化しているアルミ製の冷媒配管や機械式接手と合わせることで、ビル用マルチ空調システム向けに提案する。アルミ冷媒配管の周辺機器のラインアップを強化し、現場の省力化とCO2排出量削減につながるアルミ冷媒配管工法の実用化を進める。

 エアコンの室内機と室外機をつなぐ冷媒配管は、現在銅配管が主流となっているが、銅需要が今後増加する中で銅価格高騰や調達難などが懸念されている。こうした環境下、空調設備施工業界では銅配管に代わる冷媒配管材として、軽量でリサイクル性の高いアルミ配管への期待が強まっていた。

 高砂熱学工業はこうしたニーズをとらえるため、アルミ製冷媒配管用継手を昨年12月に発売していたが、1台の室外機に対して複数台の室内機が接続されるビル用マルチ空調システムに必要な分岐継手は未対応だった。こうした中、ベンカンの協力を受けてアルミブロックから削り出す方法で分岐管の量産を確立したことから、分岐管継手「アルミ冷媒配管用分岐管ユニット」の発売に踏み切った。

 アルミ冷媒配管用分岐管ユニットは、中心のコア部と配管部で構成されており、分岐形状が流体の均等な分配と低圧損を最大限に考慮した形状が特長。中心のコア部は、アルミブロックの削り出しで成形して、配管部とろう付接合している。

 コア部と配管のろう付け接合の作業は、アルミの溶融温度(660度程度)とろう材のフラックスの溶融温度が近いため難易度が高くなるが、独自の温度管理による「ろう付作業工程」を開発し、作業の難易度を低減して量産化技術を確立した。

 高砂熱学は施工実績を通じて、施工上の知見の蓄積や技術の高度化に取り組んでいく方針。また、ベンカンも作業者がろう付けなしで安定した施工ができるようにメカニカルジョイントの早期開発を目指していく。

 実物件への導入事例としては、6月にヤマトが施工したアイテク新社屋で、空調設備にアルミ冷媒配管工法が導入され配管の分岐部分には「アルミ冷媒配管用分岐管ユニット」が採用された。両社は今後もアルミ冷媒配管の普及を進めていく方針で、きょう23日から26日まで東京・浅草の都立産業貿易センター台東館で開かれる「第50回管工機材・設備総合展」(ベンカンブース)で「アルミ冷媒配管用分岐管ユニット」をアピールしていく。

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