東北大、特殊金属の新触媒発見 貴金属から代替の可能性も

 東北大学は、金属間化合物の一種「ホイスラー合金」という特殊な金属群で優れた性能を持つ触媒を発見したと発表した。貴金属代替触媒の開発につながるとともに、金属間化合物の触媒機能のメカニズム解明にも貢献する可能性があると期待されている。

 「ホイスラー合金」は、磁性・スピントロニクス材料、熱電材料および形状記憶合金として有名だが、触媒機能としての利用報告は見られていなかった。今回の研究では、さまざまな元素から成る12種類の同合金の触媒特性を評価し、基本的な触媒機能について調べたところ、アルキンの選択水素化反応に対してCo2MnGe(コバルト・マンガン・ゲルマニウム)およびCo2FeGe(コバルト・鉄・ゲルマニウム)が優れた触媒になることを発見するとともに、触媒機能の精密制御が可能であることを確認した。

 研究グループでは、今回発見した触媒は貴金属を含まないため、将来的には現行のパラジウム系合金触媒を代替できる可能性があると見ている。

 今回は基礎研究のため、比較的大きな試料を用いたが、今後はナノ粒子化などで表面積を大きくし、実用化を目指す。

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