WTCC戦ったシアン・レーシングが2019年WTCR復活。ボルボ筆頭株主の吉利汽車と新型TCR開発

 WTCC世界ツーリングカー選手権でボルボのファクトリーチームとして活躍したシアン・レーシングは、WTCR世界ツーリングカー・カップの2019年シーズンに、吉利汽車(ジーリー)傘下のモデル『Lynk&Co 03 TCR』で参戦するとアナウンス。そのリードドライバーには、WTCC2017年王者であるテッド・ビョークを起用すると発表した。

 ボルボのグループの筆頭株主で中国ブランドとして初の世界的ツーリングカー参戦を発表した吉利汽車は、この正式発表の約1カ月前にもシアン・レーシングとの連名でティーザー映像をリリース。10月19日に正式ラウンチを行うと予告していた。

 そして19日、吉利汽車は『Lynk&Co Cyan Racing』の名称でWTCRに3台の新型マシンを投入することを発表。2017年にボルボとともにWTCCタイトルを獲得したシアン・レーシングが世界的ツーリングカーの舞台に復帰することになった。

 チームが使用するTCRマシンは吉利汽車とボルボが共同出資して立ち上げたブランド『Lynk&Co』のバッジを掲げる。ベースモデルのお披露目イベントが行われた富士スピードウェイに姿を見せたビョークは、新型セダン『03』と合わせて、愛機となる『Lynk&Co 03 TCR』もアンベイル。

 さらにこのTCRモデルの開発に加えて、シアン・レーシングの高性能版『Lynk&Co 03 Cyan』という500馬力級のロードカー開発にも携わることが発表された。

「シアン・レーシングと戦う7年目のシーズンをふたたびスタートさせ、ともに世界タイトルを狙えるなんて夢が実現したような喜びだ」と、新車を前に来季への意気込みを語ったビョーク。

「とくにLynk&Coとの画期的な協力体制により、ボルボ時代のように高性能コンセプトのロードカー開発にも携われるなんて最高の栄誉だ」

 シアン・レーシングのCEOを務めるクリスチャン・ダールも、観戦者として見守ったWTCRの最初のシーズンを踏まえて「チームは2019年に勝利を挙げることが目標だ」と語った。

「その上で、チームとしての我々の野望は世界タイトルを取り戻すことであり、Lynk&Coとともにクルマのパフォーマンスの新たな領域を模索することだ」

「ボルボと培った高性能モデル開発のノウハウと、これまで世界中のレーストラックで重ねてきた数千ラップというレースプログラムでの膨大なマイレージのデータを重ねあわせて、極限状況から得られる知見をすべて注ぎ込むつもりだ」

 2018年初頭から開発が続けられてきた最新のTCR規定マシン『Lynk&Co 03 TCR』は、ベースモデルの1.5リッター3気筒直噴ターボ+7速DCTから、2リッターの4気筒直噴ターボと6速シーケンシャルに換装。最高出力350PS、最大トルク420Nmのアウトプットを誇る。

 来季WTCRに投入されるシアン・レーシングの3台に加え、カスタマーにもデリバリーが予定されており、世界中のTCRカテゴリーへのエントリーが見込まれている。

「これは新しく設立されたジーリー・グループ・モータースポーツにとって最初の重要な一歩になる」と語るのは、元ポールスターの責任者でもあったジーリー・グループ・モータースポーツ代表のアレクサンダー・ムルドゼフスキー・シェドビン。

「我々は来年度からすぐに、この機敏な新型モデル『Lynk&Co 03 TCR』のデリバリーを開始し、世界中のカスタマーに供給する予定だ。これにより各地域のリージョナルシリーズ、または国内シリーズで、あらゆるマニュファクチャラーとの熾烈な競争を経験することになるだろう」

 TCRのコスト上限規定により、この新型モデルは約13万ユーロ(約1680万円)の価格設定で新年早々からのデリバリーが予定されている。

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