トニー・ベネット & ダイアナ・クラール『ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ』 ジャズヴォーカルの女王を迎え、待望のデュエット

トニー・ベネット & ダイアナ・クラール『ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ』

 トニー・ベネットとダイアナ・クラールによる新たなデュエットアルバムです。トニーは、バーブラ・ストライサンドやポール・マッカートニーとの『デュエッツ:アメリカン・クラシック』(2006年)以来、レディー・ガガとの『チーク・トゥ・チーク』(14年)まで4枚のデュエット作品をヒットさせてきましたが、92歳にして発表した今作は、企画性が強かったこれまでの作品とは一線を画した“本物”のデュエット・ジャズ・アルバムといえます。さらに生誕120周年を迎えたジョージ・ガーシュウィンの作品集というコンセプトにもその本気度が伺えます。

 「スワンダフル」「サムバディ・ラヴズ・ミー」などガーシュインの曲にはデュエット向きの曲が多いのですが、世界一の失恋ソングと言われる「バット・ノット・フォー・ミー」はダイアナのソロにしているという気の使い方に繊細さを感じます。バックを勤めるビル・チャーラップ・トリオの原曲をリスペクトしたピアノソロもまた聴きものになっています。

(ユニバーサル・2600円+税)=北澤孝

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