平たん地と斜面地との価格差拡大 長崎県内不動産動向 大村市は上昇傾向、離島と半島部は下落傾向

 長崎県内の不動産関連3団体が不動産業者を対象にした本年度市況動向調査で、長崎市などの都市部では平たん地と斜面地との価格差が拡大し、二極化が鮮明化していることが分かった。人口増加で宅地などの需要が好調な大村市は上昇傾向で、離島、半島部では下落傾向が続いている。

 調査は長崎県不動産鑑定士協会、長崎県宅地建物取引業協会、全日本不動産協会長崎県本部が2年前から毎年実施している。長崎県内1027社に調査票を配り、353社が回答。6月1日を基準日に半年前との比較や半年後の予測などを尋ね、「上昇・増加」から「下落・減少」を引くなどして指数(DI)で示した。

 半年前と比較した住宅地(平たん地)の価格・賃料では、「大村」がプラス65・6、「長崎(西彼長与、時津両町を含む)」がプラス45・1で、いずれも前年度から上昇した。半面、住宅地(斜面地)は0・0ポイントの「大村」を除き、「長崎」マイナス68・2、「佐世保・県北・西海・東彼」でマイナス44・6などとなった。商業地や中古マンションの価格も「長崎」「大村」で上昇の割合が多かった。

 一方、半年前と比較した取引や開発の状況は、やや弱めの動きとなった。住宅用地や一戸建て住宅の取引件数は「大村」がプラス18・8、「佐世保・県北・西海・東彼」がプラス5・0となったが、「長崎」はマイナス11・5、「諫早」はマイナス2・4となり、前回から低下した。「新築用地、中古物件の需要はあるが供給できる物件が少ない」「開発できる平たん地が少なくなった」など、需要と供給のアンバランスさを指摘する意見もあった。

 価格・賃料、取引などの半年後予測でも、全般的に「大村」「長崎」で上昇を見込む割合が高かった。長崎県不動産鑑定士協会の田平和史業務委員長によると、長崎市ではジャパネットホールディングスによる三菱重工業長崎造船所幸町工場跡地でのスタジアム建設計画への期待も多かった。JR長崎駅周辺から同跡地周辺の幹線道路沿いでは取引価格の上昇がみられるという意見もあったという。

 「大村」は賃貸物件の空室が目立つとの意見が複数あり、田平委員長は「市況見通しは強気な半面、空室などのリスクが潜んでいる可能性がある」としている。

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