【特殊鋼、非鉄金属の特殊プレート製造、販売のF&CHDが創業70周年】〈藤巻秀平社長インタビュー〉差別化戦略で成長、フリーサイズプレート国内最大手に

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 特殊鋼、非鉄金属の特殊プレート製造、販売を手掛けるF&Cホールディングス(本社・名古屋市東区)が今年10月、創業70周年の節目を迎えた。全国各地に加工工場、営業拠点を相次いで開設、顧客サービスの向上を図るビジネスモデルを展開し、フリーサイズプレートの拡販を推進。現在の国内シェアは約35%に上る。プレート国内最大手へと成長を遂げた70年間の歩み、さらなる飛躍に向けた戦略を藤巻秀平社長に聞いた。(佐野 雄紀)

――創業70年を迎えての思いを。

 「70周年に当たって社史を製作する中で、藤巻武利会長や歴代役員に話を聞き、さまざまな局面を乗り越えた事実を知り重みを感じている。ただ依然会社として完成した印象は持っておらず、前進を続けなければと思いを新たにしたところだ」

F&Cホールディングス・藤巻社長

――業容を拡大し続けられた要因は。

 「創業時の特殊鋼鋼材販売から、プレート事業へ業態変更したことが大きな転換点となった。事業開始当時、同業他社が重視していなかった短納期を心掛け、素材メーカーの規格品が主流だった中でフリーサイズの自社製品「FFプレート」を開発。即納、自由形状での差別化を図った販売形態が広く受け入れられ、発展の原動力となった」

 「また工場のほとんどがレンタル、設備はリース中心、在庫を抱えないという、『削る・売る』に特化した事業展開も売上高、収益性を段階的に高められた要因だと考える」

――苦境に立たされた時期もあったか。

 「2008年のリーマンショックだろう。私自身専務として、一般管理費の大幅な削減に奔走した。設備売却、人員削減を余儀なくされ社内のムードが悪化したが、各拠点を訪問して社員の士気高揚に努めた。全社一丸の取り組みにより、09年10月には月次で黒字転換。厳しい時期を耐え、筋肉質な組織づくりが進んだことは大きな収穫だったと言える」

――足元のプレート需要をどう見るか。

 「半導体製造装置が調整局面に突入したものの、一時的なものではないか。当社の二大向け先である金型、設備関連のニーズは、多少の上下を繰り返しながら今後も底堅く推移するとみている」

――かねてから「全国津々浦々にFFプレートを」という目標を掲げる。

 「現在東北から九州に営業拠点を設置し、徐々に販売網を広げている。今後も支配エリアを積極的に拡大する方針に変わりはない。かねてから重要視する地域に、そして需要家に密着した「対面営業」に磨きをかけ、スピード感のある密度の濃い営業活動を続け、いっそうシェアを広げたい」

――加工部門の事業方針は。

 「昨年事業を統括する新会社「JUMP」を立ち上げ、本格参入した二次加工を徹底的に強化する。創業者が鋼材販売を、二代目の会長がプレート販売を始めたように、私の代で二次加工部門を将来的な事業の柱に育て上げる決意だ」

 「具体的には、JUMPによる業務振り分けを通じた外注会社との関係を深め、当社グループ社員のスキルアップにも努めながら、需要家が求める最終形状に近い荷姿での納入を実現。素材調達、切削、二次加工に一貫対応可能なプレートのトータルサプライヤーを目指す」

――足元の課題をどう捉えるか。

 「拡大路線を続ける中で、年々人材不足が問題化している。福利厚生をより良いものとする、女性の責任者登用を増やすなど、会社を中から変えて魅力ある職場づくりを推進し、多くの人材を取り込みたい。同時に、ブランディング活動を通じた知名度向上にも取り組む計画だ」

――今後の事業拡大に向け、カギとなる項目は。

 「まずは二次加工の着実な主力事業化。仕組みづくりなど基盤構築を進めながら、二次加工の売上高を23年8月期に220億円程度まで高めたい。そしてユーザーの要望によく耳を傾けながら、より最終製品に近い形状での供給を狙った、加工領域のさらなる拡大も視野に入れている」