乱射事件死者にインタビュー

ロシア国営テレビが大失態

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太田清

47NEWS編集長

太田清

47NEWS編集長

共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

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「ケロワさん」にインタビューするオリガ・スカベーエワさん。ユーチューブから

 生放送されたロシア国営テレビのニューストーク番組で、司会者が南部クリミア半島の職業専門学校で起きた乱射事件に居合わせた女子学生にインタビュー。「とてもつらい」などと語ったが、この女子学生は後に既に死亡していることが判明した。国営テレビの大失態にSNSなどで批判の声が相次いでいる。ロシアの独立系放送局ドシチなどが伝えた。 

 番組は17日に放送された「60ミヌート(60分)」で、教師や学生ら21人が死亡、50人以上が負傷した同半島東部ケルチの乱射事件を特集。著名司会者オリガ・スカベーエワさんがスタジオで、2年生のアリナ・ケロワさんと電話でやりとりした。番組では事件の目撃者としてケロワさんの名前が表示され、ケロワさんの写真も映された。ケロワさんはこの中で「最初の爆発音が聞こえ、約20秒にまた爆発が続いた」などと恐怖の体験を語った。 

 ところが、18日になりケロワさんと同姓同名の人物が事件の死者名簿に含まれていることが判明。ケロワさんの同級生も、学校にはケロワさんと同じ名前を持つ人はいないと証言。番組で聞いた声は「ケロワさんのものではない」と断言した。事実とすればこの世にいない人物にインタビューしたことになる。番組の報道部は事実を確認中としているが22日時点で謝罪や訂正などはないという。 

 ドシチがスカベーエワさんに電話取材し、なぜ間違えたのか聞いたところ「感情的な結論を出さないで」「なんの問題について聞いているのか分からない」「広報部に書面で質問して」などと答えるだけで、やはり謝罪の言葉などはなかった。 

 事件は同校4年生のウラジスラフ・ロスリャコフ容疑者(18)が銃を乱射、手製の爆弾を爆発させた。同容疑者は持っていた銃で自殺。教師陣とのいさかいが原因とみられる。 (共同通信=太田清)