フォーミュラEマシン初テストのマッサ「とにかくF1とはかなり違う」。日本での開催も切望

 2017年を最後に16シーズンというF1での長いキャリアを終えたフェリペ・マッサ。そのうちの半分をフェラーリで過ごし、2008年にはワールドチャンピオンまでわずか1ポイントと迫る活躍を見せるなど、誰もが認めるトップドライバーのひとりだ。

 ブラジル出身らしく明るいキャラクターでファンも多いマッサは、12月に開幕する「シーズン5」からフォーミュラE(FE)にベンチュリからフル参戦する。新しいマシン「Gen2(ジェンツー=第2世代)」で行われた初の合同テストに参加したマッサは、FEをどう感じたのだろうか。

— まず、なぜFEへの参戦を決めたのですか?

「基本的に『コンペティション(=競争する事)』が好きだから、F1でのキャリアを終えた後、別のカテゴリーを探していたんだ」

「シーズンごとに大きく発展しているシリーズとして以前からFEには注目していたし、将来的な可能性も大きいと思う。それに、レベルの高いチームやドライバーもたくさん参加しているから、僕の進むべきはFEだと思ったんだ。参戦できる事になってとてもうれしいよ」

— FEをドライブしての印象はどうですか?

「2シーズン前のマシンに(プライベートテストで)乗ったけど、新型の方がかなり良いね。タイヤ性能は上がっているし、(回生)ブレーキも使いやすくなっている。パワーも大きくなったし、何しろカッコいいよね。新型にはまだあまり乗れていないから正確な比較は難しいけれど、いいマシンに進化したのは間違いないね」

「ただ、細かいコメントができるほどドライブできていないから、まだよくわからないな。シーズン開幕まで待っていてよ」

「とにかくF1とはかなり違うから、昨日と一昨日の合同テストは、主に単独走行で、マシンを理解するために少しずつ乗っただけなんだよ。後ろのバッテリーの重さ、ダウンフォースの少なさ、通常の乗用車用に近いタイヤ(※注)など、まずはマシンを理解するのが今は必要なんだ」

— 開幕までに、ドライビングをFEに上手く合わせられそうですか?

「もちろん! モータースポーツではいろいろな経験があるから、大丈夫。まだチームメイトやライバルからも吸収することは多いけど、今のところいい感じで学習していると思うよ」

「新しいマシンに合わせたドライビング、バッテリー(充電量)や2つの出力モードの使い方、レース戦略。結果を出すにはたくさんの要素をうまくまとめる必要があるけど、心配はしていない。コースも知らない所ばかりだけど、チャレンジは大好きだから新しい挑戦をすごく楽しみにしている」

— 今シーズンの目標は?

「それについて話すのはちょっと早いね。まだ、ヴェンチュリのマシンが他と比べてどうなのか未知数だからね。(去年のチーム王者)アウディは引き続き強いだろうし、BMWも速そうだ。いずれにしても、そういったチームと良いバトルをしたいと思っている。目標も、開幕すればもっと具体的なものが見えてくるだろうね」

— では最後に、日本のファンにメッセージをお願いします

「実は、少し前にも鈴鹿のF1日本GPに行ったんだ。相変わらず日本のファンはレースの事をよく知っているし、親切で日本は大好きさ。どうして日本でFEのレースがないんだろうね。近い将来、またFEで日本のみなさんに会えるのを楽しみにしているよ!」

 終始、人懐っこい笑顔でインタビューに答えてくれたマッサ。新しいマシン、新しいシリーズにナーバスになるわけではなく、新しい挑戦を本当に楽しみにしている様子がピットでも伝わってくるようだった。シーズン5では、元F1のトップドライバーがどんな走りを見せてくれるか、今から開幕が待ち遠しい。

※注:FEでは量産車との技術の結びつきを重要視し、18インチの大径ホイールにドライとウエット兼用の溝付きタイヤを装着して使用する。

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