【新潟市長選10月28日投票】どんな経緯で新人4人が立候補という構図に?

10月14日に告示された新潟市長選には、届け出順に元北区長の飯野晋(すすむ)氏(45)、元市議の小柳聡(さとし)氏(31)、元市議の吉田孝志(たかし)氏(56)、元参議の中原八一(やいち)氏(59)の無所属新人の4名が立候補しています。投票は10月28日に行われます。

ここではそれぞれの陣営の今回の選挙に向けてのこれまでの動きと、最終的な新潟市長選の構図がどのような経緯で固まったのかを振り返ってみることにしましょう。

自民党の市議と元参院議員の2名が立候補を表明。党新潟県連は当初「自主投票」の方針だった

昨年6月20日、吉田孝志氏が無所属での立候補の意向を表明しました。吉田氏は2014年にも市議の職を辞して市長選に出馬しましたが、現市長の篠田昭氏に敗れました。今年4月26日に正式に立候補を表明した際、「現市政は財政を含めて評価できない。予算が市民のためではなく、市役所を守るために利用されている」と批判し、事業廃止や補助金削減の見直しに力を入れたい考えを示しました。

吉田氏に続き今年4月9日には中原八一氏も立候補の意向を表明。4月9日の会見で、「新潟は空港や港湾などのインフラは整備されているものの、政令市としての拠点性が低く経済活力が乏しい」とし、県議会や参議院で培った人脈を活用した市政に取り組みたい考えを示しました。

吉田氏・中原氏の両者から推薦願を受けた自民党新潟県連は、票割れの懸念はあったものの候補者を絞ることができず、「自主投票」の方針を示していました。

新潟県知事選の影響で野党共闘の行方は?

一方、旧民進党系の小柳聡氏が出馬の意向を固めたことが6月16日に分かりました。小柳氏は民進系の市議会内会派「民主にいがた」に所属し、野党側の推薦を受けると思われていました。しかし知事選の敗北以降、共産党と距離を置いていた立憲民主・国民民主の両党と、今回の市長選でも野党共闘を活かして小柳氏を支援する考えを示していた共産・社民両党の県連との間で歩み寄りが見られず、野党間の亀裂が表面化しました。結論が出ないまま、小柳氏は7月22日に開いた会見で立候補の意向を表明しました。

さらに非自民系の飯野晋氏も7月26日に立候補の意向を表明。政党推薦については「一緒にできるところがあれば検討したい」という考えを示し、農業振興や雇用創出を主な政策に展開。反与党の票も二分される可能性が生まれていました。

最終的には自民党は中原氏を、野党は小柳氏を支持することに

自民党新潟県連は候補者調整を模索したものの、中原・吉田両氏はともに立候補の意志が固く、一本化は断念されました。県連は党本部に「自主投票」の方針を伝え最終判断を委ねましたが、小柳氏が野党各党から支援を受けることが決まり、10月9日に自民党は中原氏を支持することで落ち着きました。中原氏の支持の理由について、党本部の甘利明・党選対委員長は「情勢を吟味した」とし、推薦ではなく支持に留めた理由は「吉田氏の支持者にペナルティーの議論などが生じないよう、県連の意向を尊重するため」としています。

一方、野党各党は分裂を避けるため、9月14日には共産・社民両党が小柳氏の支持を表明しました。「野党共闘」の姿勢を示すため、共産党県幹部と社民党県連幹事長が合同で記者会見を開きました。小柳氏はこの合同会見には同席せず、どの政党とも一定の距離を保ちたい」との考えを示しました。

さらに立憲民主・国民民主の両党は、10月12日に県連から小柳氏の支持の決定を発表。最終的には自由党も支持し、5党による「野党共闘」に落ち着きました。

飯野氏は政党からの支援は受けませんが、県内で専門学校などを展開する市内経済界有志や出身校の早大OBらからの支援を受けています。
公明党は保守分裂となったことから、10月18日に自主投票を決めました。

選挙戦は残り3日間。混戦を制するのは?

新潟市は政令指定都市のため、選挙運動期間は14日間と一般市の市長選挙の倍の期間があります。これまで4人は激しい選挙戦を展開し、新潟日報社の報道等によれば、かなりの混戦となっている模様です。投票日まで残された3日間の運動によって、誰が混戦を制するのかが変わる可能性もあります。
投開票は10月28日(日)に行われます。16年ぶりの新市長を決めるのは、新潟市民の一票です。ぜひ投票所へ足を運んでください。

・新潟市長選挙について(新潟市ホームページ)

追記:2018.10.25 12時

見出しに誤記がございましたので、お詫びして訂正させていただきます。誠に申し訳ありませんでした。

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