【高校野球】東北新監督に大魔神・佐々木の“女房役”が就任 「歴史や伝統に恥じぬよう」

記者会見を行った富沢清徳新監督(右)と五十嵐征彦校長【写真:高橋昌江】

高校時代は佐々木主浩氏とバッテリーを組んだ富沢新監督

 甲子園に春夏合わせて41度の出場がある東北の新監督に就任する富沢清徳氏が24日、同校泉キャンパスで記者会見を行い「歴史や伝統に恥じぬようなチーム作りをしていきたい」と意気込みを語った。来月1日付で就任し、我妻敏監督は部長になる。

 硬式野球部の監督経験がある五十嵐征彦校長と会見に臨んだ富沢新監督は「伝統のある学校で、実績のある硬式野球部。(甲子園には)春夏合わせて41回の出場になりますが、そういった実績は歴代の監督、諸先輩方が積み上げてきたもの。そういった歴史や伝統に恥じぬようなチーム作りをしてまいりたいと思います」と決意表明。五十嵐校長も「甲子園出場を目指し、強い東北高校のイメージを再構築する、決意を新たにする人事です」と期待を寄せた。

 東京都出身の富沢新監督は1983年に東北へ入学。高校時代は3度、甲子園に出場し、3年生だった85年には春夏連続で8強入りした。同級生には大魔神・佐々木主浩氏や阪神で活躍した葛西稔氏がおり、捕手だった富沢新監督は佐々木氏とバッテリーを組んでいた。「高校時代の3年間で甲子園に3度、出場させていただきました。それが今、人生の糧になっている部分もあります。母校からお話をいただいたということは非常にやりがいを感じましたし、やってやろうという気持ちにもなりました」と富沢新監督。佐々木氏には電話で報告し、「『力になるから頑張れよ』と励ましていただきました」と激励を受けたことを明かした。

甲子園優勝のない東北地区だが「1日1日を大切にしながらやっていきたい」

 高校卒業後は立正大に進み、社会人野球の朝日生命でプレー。03年からは母校である立正大のヘッドコーチとなり、09年の東都リーグ1部優勝、明治神宮大会優勝に貢献した。高校、大学、社会人と主将を務めた富沢新監督は「人間的な成長なくして技術の成長はないと思っています。そういったところを生徒に教育しながら、バランスのいいチームにしていきたい。心のバランス、技術のバランス、体のバランス、すべてにおいてバランスのいいチーム作りを子どもたちと一緒にやっていきたいなと思っています」と目指すチーム像を話した。

 立正大のコーチ、修徳高の助監督として指導経験はあるが、監督になるのは初めて。「いい意味で固定観念がないので、子どもたちの現在の姿を見ながら、子どもたちと一緒にやっていきたいと思います。指導は長くやらせていただいてきましたので、不安はさほど感じていません」と指導力に自信をのぞかせた。

 現役時代は捕手だっただけに野球で重視するのは守備だと語り「何事もキッチリとプレーをしなさいということを選手に伝えていきたいと思います。団体競技ですから、思いやりがないとチームプレーは成立しません。常に思いやりのあるプレーを、と子どもたちに伝えていきたいと思います」と力を込めた。

 かつて甲子園の優勝旗にあと一歩と迫った東北。未だ甲子園優勝がない東北地方で、その悲願に期待をかけられる高校の1つでもある。「あまりそういったところは意識せず、1日1日を大切にしながらやっていきたいと思っています」としながらも、「その延長線上にそういった目標を掲げてやっていきたいと思います」と話した富沢新監督。甲子園には春夏41度の出場。プロにはもちろんのこと、大魔神・佐々木氏、斎藤隆氏、ダルビッシュ有とメジャーリーガーも輩出した名門校が新たなスタートを切る。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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