長崎の証言の会 「2018ナガサキ・ヒロシマの声」発行 改憲の動きに警戒感も

 被爆証言の掘り起こしと記録に取り組む「長崎の証言の会」は、年刊誌「証言2018 ナガサキ・ヒロシマの声」を発行した。平和憲法をテーマにした特集では安倍政権の改憲の動きに警戒感を示している。
 「証言」は1969年創刊。来年、創刊50周年を迎える。これまで約2千人から証言を収集。今年の特集は「平和憲法の実現は長崎から」。改憲の動きを批判する専門家の寄稿のほか、昨年11月に雲仙市で実施された弾道ミサイルの国民保護共同訓練や長崎市銭座地区の防空壕(ごう)群保存運動など、県内の出来事を通して被爆者らが憲法の堅持や不戦を訴える。
 被爆証言では、在外被爆者や盲目の被爆者、爆心地近くの旧山里国民学校で被爆し生き残った教師の長男ら13人分を掲載。被爆の実相や戦後の生活状況を記した。ほかに、被爆者運動をけん引し昨年亡くなった谷口稜曄(すみてる)さん、土山秀夫さんの追悼文なども収める。
 24日に長崎市役所で会見した編集長の山口響さん(42)は「改憲で核兵器がより使いやすい状況になることを懸念している。原爆がどのようなものだったかを被爆者の具体的な経験を通じて感じ取ってほしい」と話した。A5判、276ページ。税込み2千円。問い合わせは同会(電095・848・6879)。

「証言2018」を紹介する山口さん(中央)ら長崎の証言の会のメンバー=長崎市役所

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