関西の形鋼流通、需給タイト・仕入れ値高転嫁へ トレーラー、建設資材も手当て難

 関西地区の形鋼市場は、メーカーの値上げに加え需給のタイト化で、基調が強まっている。流通は「これまでのメーカー値上げ分はほぼ転嫁できたので、9月契約以降のメーカー値上げ分を売値に転嫁していきたい」と強気の販売姿勢だ。鋼材だけでなく周辺分野でもタイト感が強まっている足元の状況を、18日に例会が開催された大阪鉄鋼流通協会(OSA)形鋼部会の報告を中心にまとめた。

 【入庫悪化】

 9月4日の台風21号によりメーカーの在庫品が雨水や海水にさらされた被害が発生。さらに雑品スクラップ問題から「電炉各社は設備能力をフルに生かした生産ができていない」とみる向きが多い。また、電気設備の故障でヤマトスチールは9月末から1週間生産を停止。すでに復旧しているが同社は11月出荷分の店売りの引き受けをH形鋼では前月受注分の最大50%まで、I形鋼は1サイズ、溝形鋼は2サイズのみとした。物件の新規受注は来年1月生産分以降としている。メーカーからの入庫状況は悪く市中在庫は全体的に減少。歯抜けサイズも多く見られるようになっている。

 【需要好調で鋼材以外もタイト化】

 9月は台風の被災で実質的営業日数は減ったが、OSAの流通動態調査によると、一般形鋼の販売量は前月比2・4%増加。H形鋼は4・9%減少したが、日割りでは増加している。需要期の10月は「営業日数が増加するのに加え、日割りでも増えている感触なので、かなり販売量は伸びそう」とする向きが多い。荷動きの活発化を受け、トレーラーなどの庸車手配が難しくなっている。また、鉄骨工事に使われるハイテンションボルトやスプライスプレートなどの建設資材も手当てが困難で、鋼材以外の周辺分野でもタイト感が強まっている。

 【3千円転嫁へ】

 足元の相場は、8月盆休み前の安値からすると3千~4千円上伸。「今年2月契約分までの仕入れ値高はほぼ売値に反映させた」とする。東京製鉄を除いたメーカー各社は9~10月契約でH形鋼、一般形鋼とも3千円値上げしており「足元を固めながらも着実に3千円を転嫁していきたい」とし、引き続き流通の売り腰は強い。

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