エヌケーケーシームレス鋼管、超臨界地熱発電プロに参画 ケーシング材開発関連で

 エヌケーケーシームレス鋼管(ローランド・バルケネンデCEO)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が手掛ける超臨界地熱発電プロジェクトの実現可能性調査に参画する。

 同発電方式は、火山地帯の地下3~5キロメートルの深部にあると想定される約500度の高温・高圧の超臨界水を活用するもの。従来の地熱発電に比べて、発電所1カ所あたりの出力が大幅に増大することが期待される。

 現在地熱発電の出力は日本の全電力供給量のわずか0・2~0・3%程度。ただ東日本大震災を契機に、政府は今後2030年までにベース電源として地熱発電の比率を1・5%にまで高める指針を打ち出している。

 NEDOは今回のプロジェクトにあたり、実現可能性調査、調査井掘削のための詳細事前検討、調査井掘削、掘削結果の検証と実証実験への事前検討、実証試験の5つのステップを組んだ。これまでに実現可能性調査を実施した結果、1坑井当たり数万キロワットの発電が可能なケースがあることなどが分かってきた。今後、超臨界地熱資源の存在の可能性が高いと想定される複数地域で詳細調査を実施。資源量評価や調査井の仕様検討などに着手する。

 今回、エヌケーケーシームレス鋼管は自社の油井管(OCTG)技術を生かして、想定される酸性環境・高温度に耐えるケーシング材の開発に関連する部分を担当。井戸の設計と材料の方針を約3年間で立て、2040~50年の事業化をめざす。超臨界地熱発電はアイスランドやイタリアでも研究は進んでおり、エヌケーケーシームレス鋼管が属するテナリスグループが協力している。今回のプロジェクトにあたり、こうした他地域で行っている研究についても、グループ間で知見を共有する。

 エヌケーケーシームレス鋼管は過去、メタンハイドレートの海洋産出試験事前掘削などを行っている地球深部探査船「ちきゅう」に掘削用のドリルパイプと井戸枠となる特殊なケーシング部材を供給。また政府主導の地球温暖化対策プロジェクト「日本版CCS」に参画するなど、次世代エネルギー開発や環境課題に積極的に取り組んでいる。

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