マツダ CX-8 2018年改良モデルに試乗! ガソリンターボ&NAエンジンを追加、乗り心地は国産SUV最高水準に

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マツダ CX-8(2018年改良モデル) ボディカラー:マシーングレーインテリアカラー:ディープレッド

ディーゼルのみの設定だったCX-8にガソリンターボ&NAエンジンが追加

今のマツダはSUVに力を入れ、コンパクトなCX-3、ミドルサイズのCX-5、LサイズのCX-8という3車種をそろえる。これらの中で最上級に位置するCX-8が改良を受ける。2018年10月25日に予約受注を開始して、11月29日に発売される。

今回の改良で最も注目されるのは、エンジンの品ぞろえを充実させることだ。従来は直列4気筒2.2リッターのクリーンディーゼルターボのみを搭載したが、新たに直列4気筒2.5リッターガソリンのスカイアクティブ-G・2.5、これにターボを装着したスカイアクティブ-G・2.5Tも加える。

エンジンと駆動方式の組み合わせは、ノーマルガソリンエンジンは前輪駆動の2WD、ガソリンターボは4WDとした。CX-5もCX-8に先立ってガソリンターボを加えたが、これは2WDと4WDの両方を選べる。CX-8のエンジン設定は限定的だ。

エンジン追加だけじゃない! 足回りや装備類、内装もグレードアップ

マツダ CX-8(2018年改良モデル) ボディカラー:マシーングレーインテリアカラー:ディープレッド

今回の改良ではエンジンの追加に伴って、サスペンションとステアリングシステムも変更を受けた。車両の姿勢を安定させるGベクタリングコントロールは、Gベクタリングコントロールプラスに進化している。

安全装備では、単眼カメラを使う緊急自動ブレーキのアドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートに、夜間歩行者の検知機能を追加した。車両の周囲を上空から見たような映像として確認できる360度ビューモニターは、従来はXDでは装着できなかったが、改良後はすべてのグレードで装着可能にしている。

内装の質感と快適装備は、主に上級のLパッケージを進化させた。前席のベンチレーション(シート表面の小さな穴から湿った暖かい空気を吸い出して快適を保つ)、メーターの中央にさまざまな情報を表示する7インチTFT液晶、足元を照らすLEDフットランプとグローブボックスのイルミネーションなどを採用した。

さらに各種の装備も充実させ、カーナビを含めた通信機能のマツダコネクトは、アップル・カープレイやアンドロイド・オートに対応する。フロントアームレストの高さを抑えて着座姿勢を最適化したり、17/19インチアルミホイールのデザインも変更した。

ちなみにCX-8は2017年12月に発売され、2018年6月には2列目シートがベンチタイプになる7人乗りのXD・Lパッケージも設定した。それまでのXD・Lパッケージは、2列目がセパレートタイプになる6人乗りだけであったが、7人乗りを求める市場のニーズに応えている。

さらに2018年11月29日には改良版が発売されるから、CX-8は半年に一度の割合で改良を行う。常に進化させるのはとても良いことだが、半年置きになると、ユーザーによっては購入直後に改良されてしまう。CX-5などにも当てはまる話だが、販売店に変更内容とスケジュールを予め伝えて、ユーザーの心情や満足感に配慮する必要があるだろう。

改良型CX-8にテストコースで試乗!

マツダ CX-8(2018年改良モデル)と渡辺陽一郎氏 ボディカラー:マシーングレーインテリアカラー:ディープレッド

2.5リッターガソリンターボは余裕のトルクが持ち味

改良の概要が分かったところで、新型CX-8を試乗した。場所は閉鎖されたテストコースになる。

まず試乗したのは、新グレードとなる2.5リッターのガソリンターボを搭載する25T・Lパッケージだ。動力性能は2018年10月11日に試乗記を掲載したCX-5のガソリンターボと同じだが、車両重量はCX-8が200kgほど重く、1860~1890kgになる。

車両重量が重ければ動力性能では不利だが、新搭載された2.5リッターのガソリンターボは実用型のエンジンだ。最高出力は230馬力(4250回転)にとどまるが、最大トルクは42.8kg-m(2000回転)に達する。

ガソリンエンジンなのに、動力性能の数値はクリーンディーゼルターボの190馬力(4500回転)・45.9kg-m(2000回転)に近い。

ミドルサイズのCX-5では、ガソリンターボならばもう少しスポーティでも良いと感じたが、LサイズのCX-8ではこの設定も相性が良い。実用回転域の高い駆動力により、発進直後にアクセルペダルを軽く踏んだ時でも、重いボディを緩慢なく自然に加速させるからだ。

この動力性能を自然吸気のノーマルエンジンに当てはめると、実用回転域は4リッタークラスと受け取られた。ガソリンターボだからといって、高回転域の吹き上がりが活発な回して楽しいエンジンではないが、全長が4900mmに達するCX-8には適している。

上級指向のSUVとあって、遮音対策は同じエンジンを搭載するCX-5よりも入念に行われ、静かでスムーズな走りを楽しめる。

CX-8はCX-5のロング版……じゃない!?

CX-8はCX-5のロング版に見えるが(全幅は1840mmで等しい)、実際には北米で売られるCX-9の全幅を狭める方法で開発された。CX-5を伸ばして3列目を加えるよりも、もともと3列のシートを備えたCX-9を狭くした方が開発しやすいからだ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)や各シートの前後間隔もCX-9を踏襲した。

そしてCX-9は、もともと2.5リッターのガソリンターボを搭載していたから、CX-8とも相性が良いのは当然だろう。

Gベクタリングコントロールが進化、乗り心地の向上を体感

マツダ CX-8(2018年改良モデル) ボディカラー:マシーングレーインテリアカラー:ディープレッド

走行安定性は、CX-5と同様、Gベクタリングコントロールにブレーキ制御を加えたGベクタリングコントロールプラスに進化したことが注目される。アクセルペダルを戻した状態でも、コントロールの効果が得られるようになり、制御領域が広がった。

例えば右側の車線から左側へ車線変更を行う場合だと、従来は右車線上で左側にハンドルを切り込んだ時に、絶妙な減速による荷重移動で車両の向きを滑らかに変えた。

新しいGベクタリングコントロールプラスでは、この機能に加えて、左側に車線を変えてハンドルを戻す時にもブレーキによって作用する。そのために車線変更の最終段階で生じる若干のあおられる左右方向の動き(大げさにいえばだが)も抑えた。

つまりGベクタリングコントロールの効果が、車線変更や旋回の開始から終了まで、すべての過程にわたって発揮される。制御が完結されて車両の動きが落ち着くため、安全性に加えて乗り心地も向上する。

ただしCX-8は、先に述べた車両重量の数値からも分かるように、以前からボディを入念に造り込んでいた。ホイールベースも2930mmだから、CX-5に比べて230mm長い。機敏に曲がる印象は乏しいが、安定性と乗り心地はもともと優れていたので、改良に基づく変化の度合いはCX-5ほど大きくない。それでも運転感覚と乗り心地がさらに洗練され、国産SUVの中では最高水準の快適性を備える。

2.5リッター自然吸気エンジンは活発な吹き上がりを楽しめる

マツダ CX-8(2018年改良モデル) ボディカラー:スノーフレイクホワイトパールマイカインテリアカラー:ブラック

自然吸気のノーマル2.5リッターエンジンを搭載する25Sプロアクティブにも試乗した。ターボが省かれて、駆動方式も2WDになるから、車両重量は130kgほど軽い。それでも1700kgを軽く超えるので、最高出力が190馬力(6000回転)、最大トルクが25.7kg-m(4000回転)では、パワーに余裕があるとはいえない。そこでCX-5やアテンザが搭載する気筒休止の低燃費技術は省いた。

運転感覚としては、ターボと違って駆動力は高くないが、高回転域の吹き上がりは適度に活発だから自然な印象だ。ギヤ比は最終減速比がCX-5の25Sに比べるとローギヤード化され、動力性能を有効活用している。

操舵に対する反応は、ボディが軽いために軽快感が伴い、走行安定性も優れている。乗り心地はターボに比べると若干硬い印象だが、SUVでは快適な部類に入る。

改良型CX-8の燃費と価格

マツダ CX-8(2018年改良モデル)

WLTCモード燃費は、ガソリンターボの25T・Lパッケージ(4WD)が11.6km/L、自然吸気の25S・Lパッケージ(2WD)は12.4km/L、クリーンディーゼルターボのXD・Lパッケージ(4WD)が15.4km/Lになる。

価格は25T・Lパッケージ(4WD)が424万4400円、25S・Lパッケージ(2WD)は375万8400円、XD・Lパッケージ(4WD)は446万400円だ。

25T・Lパッケージ(4WD)は、XD・Lパッケージ(4WD)に比べて21万6000円安いが、Boseサウンドシステム(8万1000円)とCD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(3万2400円)がオプションになる。従って実質差額は10万円少々だ。

それでもCX-5における同グレード同士の価格差(5400円)に比べると、差額は大きい。

またクリーンディーゼルターボはエコカー減税が免税だから(2018年度)、実際の支払い総額ではガソリンターボが明確に高くなる。

従って今後もCX-8の売れ筋はクリーンディーゼルターボであり続けるが、ガソリンターボは動力性能の立ち上がりが自然で、上質な印象を受ける。CX-8はもともとLサイズのセダンやワゴンに近い価値観を備えるため、ガソリンターボは割高であっても、CX-8の価値をさらに高めるだろう。

また前述のように2.5リッターのノーマルエンジンも魅力だから(2WDに限られてしまうが)、すべてのエンジンを乗り比べて選ぶと良い。

唯一気になる点は価格の高さ

それにしてもCX-8は価格が高い。変更前のCX-8のXD・Lパッケージ(4WD)は419万400円だったが、装備を充実させた結果、27万円値上げされて前述の446万400円になった。CX-5も大半が300万円以上だから、購入しやすいとはいえない。

そうなるとコンパクトなCX-3には、居住性などの面でもう少し頑張っていただき、商品力を高めて欲しい。

[筆者:渡辺 陽一郎 / 撮影:小林 岳夫]

CX-8(2018年改良モデル)スペック

CX-8(2018年改良モデル)車両本体価格

■【試乗車】25T L Package [4WD]:4,244,400円

■【試乗車】25S PROACTIVE [FF]:3,256,200円

■XD L Package [4WD]:4,460,400円

■XD PROACTIVE [FF]:3,693,600円

※主要グレードのみ抜粋。価格はいずれも消費税込み。