カージナルスの名捕手・モリーナがロベルト・クレメンテ賞を受賞

日本時間10月25日、フィールド内外での人格面や社会貢献活動を評価し、最も優れた選手に贈られるロベルト・クレメンテ賞の2018年の受賞者が発表された。メジャーリーガーにとって「最も栄誉ある賞」と呼ばれるロベルト・クレメンテ賞の受賞者に選ばれたのは、母国・プエルトリコのために様々な支援活動を続けているヤディアー・モリーナ(カージナルス)だ。

プエルトリコ出身のモリーナは、幼少時代に両親からクレメンテの偉大さについて聞かされながら育ってきた。3000本のヒット、15度のオールスター・ゲーム選出、ライトからの強肩といったフィールド上の活躍のみならず、クレメンテはフィールド外でも精力的に社会貢献活動を行っていた。ニカラグア大地震の支援活動へ向かう際に墜落事故で亡くなったという事実が、彼の生き様を象徴していると言えるだろう。

モリーナは2010年に「Foundation 4」という自身の基金を立ち上げ、近年では大型のハリケーンで甚大な被害を受けた母国・プエルトリコの復興支援に精力的に取り組んできた。2017年にはシーズンが終了した2日後にプエルトリコに降り立ち、朝から晩まで自身の足でプエルトリコの町を歩き回り、支援物資を配布したり、散乱した瓦礫を取り除いたりと、自身の手で14日間にわたって懸命な活動を続けた。多額の寄付による支援を行うメジャーリーガーは多数いるものの、モリーナは直接的に支援活動に携わっている点で他の選手とは一線を画している。これまでにモリーナが行ってきた様々な社会貢献活動が総合的に評価され、今回の受賞に至った格好だ。

現在、U-23プエルトリコ代表を率いてU-23ワールドカップに参戦しているモリーナは、ワールドシリーズ第2戦の開始前に行われた受賞セレモニーには出席できなかったものの、「私自身、そして私の家族にとって素晴らしい栄誉だ」と喜びのコメント。「この賞のことを意識しながら活動をしてきたわけではないけど、素晴らしい賞をいただいたことで、プエルトリコで行ってきた様々な活動を誇りに思うことができるよ」と感慨深げに語った。

プエルトリコ出身の選手が同賞を受賞するのは、2006年のカルロス・デルガド、2013年のカルロス・ベルトランに続いてモリーナが3人目。ニューヨーク出身ながらプエルトリコ人として育ったエドガー・マルティネスも2004年に同賞を受賞している。また、カージナルスの選手としては1975年のルー・ブロック、1995年のオジー・スミス、2008年のアルバート・プーホルス、2013年のベルトランに続いて5人目の受賞者となった。

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