長崎市MICE計画 九電工Gと優先交渉決定 応募は1グループのみ

 長崎市がJR長崎駅西側に計画するMICE(コンベンション)機能を中核とする複合施設を巡り、長崎市は2017年11月24日、九電工(福岡市)などの企業グループを建設・運営委託先としての優先交渉権者に決定したと明らかにした。ホテルは米大手ヒルトンを想定。事業の公募に応じたのはこのグループだけで、市議会からは競争性が担保できたのか疑問視する声が出ている。

 田上富久市長らが市議会各派代表者会議で報告した。市は優先交渉する事業者をプロポーザル方式で6月まで公募。九電工やゼネコン大手の鹿島、松藤グループ傘下でホテル運営を手掛けるグラバーヒル(長崎市)など計14社の企業グループのみが応募した。

 長崎市の計画では、複合施設のうちMICE施設は「公設民営」、隣接する高級ホテルなどの民間収益施設は「民設民営」で整備する。企業グループ側の提案によると、MICE施設は3階建て。2階にコンベンションホール(2720平方メートル)、1階にイベント・展示ホール(3840平方メートル)などを設置する。ホテルは10階建て。1~3階がエントランスやレストランなど、4階以上に200客室を構える。ヒルトン側とフランチャイズ契約を結ぶ方向で交渉している。

 長崎市が事前に示したMICE施設整備の予定額は147億円。企業グループ側はほぼ同額の146億9955万6千円で整備するとした。

 21日、有識者らによる審査会が提案を採点。総合評価は700点満点中523・75点だった。この結果を踏まえ長崎市が優先交渉権者に決めた。

 応募が1グループしかなく、24日の会議では議員から「競争性は保たれたのか」と指摘する声が上がった。加藤邦彦副市長は「(公募締め切り)直前では(他に)2グループから(参加検討の)話もあった。公募過程で多くの事業者が競争した」と釈明した。

 長崎市は「今回の提案内容は確定ではない。市議会などの意見を聞いて進める」とし、近く開会予定の定例市議会でも説明する方針。来年2月に関連予算議案を提出し、2021年11月の施設開業を目指す。

九電工などの企業グループが提案したMICE施設などのイメージ(長崎市提供)
九電工などの企業グループの提案内容を基に長崎市が作成した複合施設の見取り図(市提供)

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