三菱電機が金属3Dプリンターを高精度化 「点造形技術」開発

 三菱電機は23日、金属3Dプリンターの高精度化に寄与する点造形技術を開発したと発表した。空孔がほとんどない高品質な三次元構造を高速で造形するレーザーワイヤーDED方式を採用した金属三次元造形装置において、レーザー技術、数値制御(CNC)技術やCAM技術を連携させて高精度な造形を実現した。航空機や自動車の部品製造におけるニアネットシェイプ化や、肉盛補修など幅広い用途で生産性の向上に寄与できるとして、2020年度中の製品化を目指す。

 金属部品の製造に三次元造形技術を適用する試みが、航空機や自動車の製造分野を中心に広がっている。こうした環境の中で三菱電機は、長年培ってきたレーザー技術、CNC技術とCAM技術を連携させて、レーザーワイヤーDED方式の金属三次元造形装置を高精度化する点造形技術を開発した。パルス状のレーザー照射、金属ワイヤーやシールドガスの供給と造形位置などを同期制御して点状の造形を繰り返す独自の点造形技術によって、従来の連続造形技術に比べ形状精度が60%向上した。また高温部分が点状の狭い範囲に限定されるため、造形時に課題となる表面の酸化を20%以上抑制できるほか、点造形方式に対応した専用CAMにより、複雑な形状の造形も可能となっている。

 供給材料として一般的な金属粉末に比べて、製造が簡単な金属ワイヤーを利用することで原料製造エネルギーを低減させるとともに、造形時の材料飛散量を大幅に低減した生産プロセスを実現している。

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