〝おかん〟獄中記の出版

籠池夫妻の言い分(2)

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取材に応じる籠池泰典被告と諄子被告=2018年10月18日、右は学校法人「森友学園」が小学校建設を目指していた大阪府豊中市の国有地=2018年3月

 学校法人「森友学園」前理事長の籠池泰典被告(65)=詐欺罪などで起訴=の妻諄子被告(61)=同=が「許せないを許してみる 籠池のおかん『300日』本音獄中記」(双葉社)を出版した。前回に続き、籠池夫妻に大阪府豊中市の自宅でインタビューした内容をまとめた。2人は国有地で計画した小学校の工事費を水増しし、木造建築技術の普及や発展を目的とする国の補助金(サステナブル補助金)約5600万円をだまし取ったとする詐欺罪などに問われている。(共同通信=大阪社会部・真下周)

 ▽「口封じ」

 ―起訴された犯罪事実に対しての認識は。

 夫「家内は何も関わってないから、無罪で冤罪。この人をああいうところになぜ入れたのか。やっぱり安倍昭恵夫人と親しいから。変なことを言われたら政権がひっくり返るから、口封じだった。守り切れなかった。それにサステナブル補助金の話なんて、ぼく自身が進めていたことでもない」

 ―運営する塚本幼稚園で、教員が専任の場合のみ支給される人件費や、障害などで特別な支援が必要な「要支援児」を受け入れることで得られる大阪府と市の補助金も、計1億2千万円を詐取したとされる。

 夫「その後、他園でも(不正が疑われる事例が)たくさん出てきたのに、なぜ立件しないのか。うちだけ手厳しいのはおかしい」

 妻「要支援児の補助金は以前からあるけど、うちは知らなかった。2010年まで申請は1件もしていない。他の園長からこの制度について教えてもらって始めた。大阪府の担当からは『補助金は自分で探すもんだ』と言われた」

 夫「大阪府は毎年のように監査に来ていたのに、(不正認定が)なぜこのタイミングなのか納得できない。毎年きちんとチェックしていたのか。そもそも行政処分になる類いの話だし、捜査だっていかめしい特捜部でなく、府警がやるべきでは。仰々しくやらざるをえなかった最高検の考え方が出ている」

 ―首相は昨年2月17日の国会で「私や妻が関係していたなら総理も議員も辞める」と答弁。「(籠池氏は)私の考え方に共鳴している方」としていた評価も一転、同24日には「非常にしつこい」と切り捨てた。

 夫「総理が一言発するだけで、天地がひっくり返るんだなと驚愕した。この時から物事が逆回転し始めた。『籠池は詐欺師で、言っていることは全部うそ』という流れになった」

 妻「安倍総理と大阪府の松井知事とは仲良し。お父さんが証人喚問で、知事のことを悪く言ったことが大きなきっかけになって、知事と安倍総理がたくらんでお父さんをやっつけにかかった」

学校法人「森友学園」が小学校建設を目指していた大阪府豊中市の国有地=2018年5月

 ▽「昭恵さんに興味なし」

 ―振り返って森友問題とは何だったのか。安倍首相夫妻への思いも。

 夫「学校開設に向けて動いていた時は、役人には忖度、いや直接に行動してもらった。(政治家の)秘書も安倍事務所もそうだ。内閣、官邸と一緒に動いていただいたとの認識。それがいきなりひっくり返った」

 妻「昭恵さんから、小学校建設のため100万円を寄付してもらったのは事実。それを真っ向から否定されて、興ざめだった。うそを公然と言うのはおかしい。昭恵さんに興味もなくなった」

 ―政権を揺るがし続ける「モリカケ問題」。著書でも加計学園を批判している。

 妻「むこうの補助金の額が断然大きい。許せない。消費税を10%に上げる前に、加計学園に注がれた税金を返金させ、被災者の家を再建するとか、そういった支援に回してほしい」

 夫「加計孝太郎理事長が安倍さんと『会った』と認めても、『会ってない』としらを切り続けても、どちらにしても問題になる。それにしても加計さんは男らしくない。あの方には教育者をかたってほしくない」

 ―安倍首相は総裁選で勝利し、決裁文書の改ざん問題があってなお、麻生財務相が留任した。

 夫「消費税を言い出したということは『経済政策はこれでやめます』ってこと。これからは憲法9条改正に突っ走るだろう。大企業のデータ改ざんや捏造の話があれだけ出てくる背景に、うそがまかり通る安倍内閣のやり方を見て、今のうちに申告しておけば許されるのでは、という考えがあるのでは。第4次(改造)内閣って言うけど、時計は夕暮れ4時どころか、真っ暗闇内閣だと思う」

 妻「安倍さんはこれで逃げられると思ったら大間違い。隠しても隠し通せない。いつか必ず矛先が向く。おかしいことに国民の皆さんが声を上げることが大事。国家権力より国民の力が強いってことを見せていきたい」