今年の選手はどうなるか…ドラフトの“答え”が出るのは5年後!? 13年は「大豊作」

西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

大瀬良&田中と主力に成長した広島、ヤクルト杉浦は日ハムへ移籍

 2018年のドラフト会議が25日に行われた。ドラフトは5年後、10年後になってみないと、その球団にとって成功だったのかどうかの答えは出ないと言われる。今から5年前、2013年のドラフト会議を振り返ってみると、主力に成長し今シーズン大活躍した選手がズラリと並んでいる。12球団の「5年後のドラフト」診断をしてみよう。

 2013年のドラフトの目玉は、前年の夏の甲子園で、2年生ながら1試合22奪三振、10者連続三振の新記録を樹立した桐光学園の松井裕樹だった。日本ハム、ソフトバンク、楽天、DeNA、中日の5球団が競合し、くじ引きの末、楽天が交渉権を獲得した。その他、“外れ1位”“外れ外れ1位”も含めて大瀬良大地、石川歩、柿田裕太、杉浦稔大、岩貞祐太に重複入札、くじ引きが行われた。

 球団別に、指名選手のその後を追ってみた。

◯広島
1大瀬良大地 投
2九里亜蓮  投
3田中広輔  内
4西原圭大  投
5中村祐太  投

 1位でヤクルト、阪神と重複した大瀬良をくじ引きで獲得。ルーキーイヤーから10勝を挙げて新人王、5年後の今年は16勝を挙げて菅野智之(巨人)と並ぶ最多勝を獲得した。2位の九里亜蓮も3年目から先発、リリーフ兼用として存在感を見せ、今季24試合(19先発)で8勝4敗。初の完投勝利も挙げた。

 3位の田中広輔はルーキーイヤーから110試合に出場。今では不動の1番打者となり、5年で通算703安打、111盗塁。5位の中村祐太も昨年5勝、今年3勝を挙げた。

◯ヤクルト
1杉浦稔大 投
2西浦直亨 内
3秋吉亮  投
4岩橋慶侍 投
5児山祐斗 投
6藤井亮太 捕

 2回目の入札でソフトバンクと重複しくじで引き当てた1位の杉浦は、昨年までのヤクルト4年間で6勝8敗と結果を残せず、2017年7月に日本ハムへトレード。今年3試合に先発して2勝を挙げた。

 2位の西浦尚亨は今季138試合に出場と遊撃のレギュラーを手にして打率.242、10本塁打、55打点とキャリアハイの成績を挙げた。3位の秋吉亮は1年目から61試合に登板し、2015年、74試合に登板してセ・リーグ優勝に貢献。翌年も70試合に登板したがここ2年は登板数が減っている。5位藤井亮太も中村のバックアップとして昨年97試合に出場したが、今季は38試合出場と成績を落とした。

◯巨人
1小林誠司  捕
2和田恋   内
3田口麗斗  投
4奥村展征  内
5平良拳太郎 投

育成1 青山誠   外
育成2 長江翔太  投
育成3 北之園隆生 投

 1位で石川を外し、小林誠司を1位指名。球界屈指の強肩捕手として定着し、侍ジャパンにも選出されたが、打撃に難があり、その後も宇佐見真吾(2015年4位)、大城卓三(2017年ドラフト3位)と打てる捕手を指名し続けている。

 3位田口麗斗は2016年10勝、2017年13勝と左の先発としてローテーションの一角に入ったが、今季は2勝8敗と不振に終わり、来季の巻き返しに期待。2位和田恋は今年のイースタン・リーグで打点、本塁打の2冠を獲得し、来季以降のブレークが期待されるプロスペクトだ。4位奥村展征(現ヤクルト)、5位平良拳太郎(現DeNA)はそれぞれFA補強の際の人的補償となって移籍した。

◯DeNA
1柿田裕太  投
2平田真吾  投
3嶺井博希  捕
4三上朋也  投
5関根大気  外
6山下峻   投

育成1 砂田毅樹 投
育成2 萬谷康平 投

 外れ1位入札で日本ハム、阪神と競合して引き当てた柿田だが、4年間で一度も1軍登板がなく、昨年戦力外通告を受け退団した。3位嶺井博希は今年キャリアハイの91試合に出場したが、打率.177と不振で、シーズン途中に伊藤光がオリックスからトレード加入し47試合出場。レギュラー争いが激しくなりそうだ。

 4位三上朋也は2014年、17年、18年と60試合超の登板。16年も59試合と、タフなセットアッパーとして活躍。育成1位の砂田毅樹も、17年62試合、今年も70試合と左のリリーフとして存在感を見せている。

森&山川が主軸を打つ西武、ソフトバンクは加治屋&森&上林と大豊作

◯中日
1鈴木翔太  投
2又吉克樹  投
3桂依央利  捕
4阿知羅拓馬 投
5祖父江大輔 投
6藤沢拓斗  内

育成1 岸本淳希 投
育成2 橋爪大佑 内 

 出世頭は2位又吉克樹。5年間で282試合に登板、主に中継ぎとして31勝21敗100ホールド。昨年は9試合に先発し、完投勝利も挙げた。ただ、今年は勝負どころで痛打を浴びることも多く、40試合登板、防御率6.53と不振に終わった。

 松井を外して1位指名した鈴木翔太は昨年15試合(12先発)5勝5敗ときっかけをつかんだかに思えたが、今年は2試合(2先発)で勝利なし。5位祖父江大輔がリリーフで2017年に35試合登板、防御率2.57をマークするなど、安定した成績を残している。

◯阪神
1岩貞祐太  投
2横田慎太郎 外
3陽川尚将  内
4梅野隆太郎 捕
5山本翔也  投
6岩崎優   投 

 外れ外れ1位で日本ハムと競合して指名権を獲得した岩貞は5年で24勝34敗。2016年には10勝を挙げ、5年間で負け越してはいるものの、先発ローテの一角に食い込んでいる。3位陽川尚将は16年、17年とウエスタン・リーグで本塁打、打点の2冠に輝き、今季は75試合に出場して打率.252、本塁打6と長距離打者の素質を開花させつつある。4位梅野隆太郎も今季132試合出場で正捕手として定着。主力として育っている。

◯西武
1森友哉 捕
2山川穂高  内
3豊田拓矢  投
4金子一輝  内
5山口嵩之  投
6岡田雅利  捕
7福倉健太郎 投

 1位森友哉、2位山川穂高がレギュラーの座を手にした。森は当初、打撃優先で指名打者や外野で使われることもあったが、今年は本来の捕手に戻ってレギュラーポジションを確保。山川は47本塁打で本塁打王を獲得した。バックアップ捕手の岡田雅利もこの年の6位指名と、戦力に育っている。

◯ソフトバンク
1加治屋蓮  投
2森唯斗   投
3岡本健   投
4上林誠知  内

育成1 石川柊太 投
育成2 東方伸友 投
育成3 曽根海成 捕
育成4 張本優大 捕

 支配下指名4人ながら、1位加治屋蓮、2位森唯斗、4位上林誠知がいずれも今年大活躍。加治屋は72試合4勝3敗31ホールド、森は37セーブでセーブ王。上林は143試合フル出場で.270、22本塁打をマークし、強肩の外野手として主軸を打つ。育成1位には先発・リリーフ兼用で今年13勝の石川柊太もおり、この年のドラフトでもっとも成功した球団。

松井は楽天の守護神に、ロッテ井上は今年大躍進 オリ若月も正捕手に

◯日本ハム
1渡辺諒   内
2浦野博司  投
3岡大海   内
4高梨裕稔  投
5金平将至  投
6白村明弘  投
7岸里亮佑  外
8石川亮   捕 

 松井、柿田、岩貞をすべて外した“外れ外れ外れ1位”渡辺諒は今年キャリアハイの60試合に出場。打率.242、7本塁打ときっかけをつかんだ。3位岡大海はレギュラーを取り切れず、今年7月にトレードでロッテへ移籍。2位浦野博司はルーキーイヤーの2014年に先発で7勝を挙げたが、16年に右肩痛のため1軍登板なし。しかし今年は36試合2勝2敗7セーブ11ホールド、防御率2.16と復活を見せた。4位高梨裕稔は5年で通算22勝、16年には2桁勝利。6位白村明弘は2015年に50試合登板、13ホールド、防御率2.03とセットアッパーで活躍したが、以後は不本意な成績が続いている。

◯オリックス
1吉田一将  投
2東明大貴  投
3若月健矢  捕
4園部聡   内
5吉田雄人  外
6奥浪鏡   内
7柴田健斗  投
8大山暁史  投

育成1 東弘明 内

 1位吉田一将は当初先発で使われていたが、2016年以降はリリーフが主となり、今年は58試合登板、21ホールドとセットアッパーとして活躍。2位東明大貴は16年、17年と2年連続で右肘クリーニング手術を受けるなど故障に苦しみ、今年も7試合(7先発)1勝4敗に終わった。しかし15年には10勝を挙げており、復活が待たれる。

 野手では3位若月健矢が2017年100試合、今年も114試合に出場と正捕手に定着。今年は課題の打撃も.245と改善され、レギュラーの座を不動とした。

◯ロッテ
1石川歩   投
2吉田裕太  捕
3三木亮   内
4吉原正平  投
5井上晴哉  内
6二木康太  投

育成1 肘井竜蔵 捕

 巨人との競合で引き当てた1位石川はルーキーイヤーから先発ローテに入り、3年連続2桁勝利と順調だったが、2017年はわずか3勝。今年も9勝8敗と2桁勝利には届かなかった。今年はこの年5位の井上晴哉がブレーク。打率.292、24本塁打、99打点と3割100打点まであと一歩の成績を残し、貴重な長距離砲として中軸に座った。3位三木亮、6位二木康太もそれなりに戦力になっているが、もう一段の飛躍を期待したい。

◯楽天
1松井裕樹  投
2内田靖人  捕
3浜矢広大  投
4古川侑利  投
5西宮悠介  投
6横山貴明  投
7相原和友  投
8相沢晋   投
9今野龍太  投

 5球団競合の末獲得した1位の松井は主にクローザーとして起用され、5年間で通算101セーブ。特に2015年は63試合33セーブ、防御率0.87という絶対的な守護神となった。今季はわずか5セーブと不振ながら、終盤は2014年以来となる先発としても起用され、10月4日の日本ハム戦で7者連続を含む6回14三振を奪った。

 2位内田康人も今年58試合出場。打率.198ながら12本塁打を放った。安打数35なので、3本に1本は本塁打で長打率.435とパンチ力は十分。プロスペクトとして今後も期待される。

 こうして見ると、主力として育った選手、結果が出なかった選手と様々だが、今年主力に定着し、活躍が目立った選手は5年前の2013年ドラフト組が非常に多い。そういう意味で、5年経った今から見ると、2013年は「豊作だった」と言えるのは間違いないだろう。今年のドラフトでは話題性のある選手が多かったが、果たして5年後にどんな結果が出ているだろうか。(Full-Count編集部)

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