常陽 安全対策170億円 補正申請 再稼働は1年延期

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日本原子力研究開発機構(原子力機構)は26日、高速実験炉「常陽」(大洗町成田町)の再稼働の前提となる新規制基準適合性審査の補正申請書を原子力規制委員会に提出した。原子力機構は同日、県庁で記者会見し、再稼働に必要な安全対策工事費が当初想定した約54億円から、3倍以上の約170億円に増え、再稼働目標時期も2022年度末と1年延期したことを明らかにした。昨年の申請時に審査保留の原因となった熱出力性能は、炉心設計を見直して14万キロワットから10万キロワットに下げた。

原子力機構によると、安全対策費が大幅に増えたのは、想定する基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)を引き上げるなどしたため。地震動が大きくなると、より強固な耐震設計が必要になるという。

原子力機構は、昨年4月の初回申請で、本来の14万キロワットの出力で運転すると避難計画を作る自治体の範囲が広がり、再稼働実現まで時間がかかるとして、設備の変更はしないまま10万キロワットに出力を抑えて運転すると説明。規制委から見直しを指示され、異例の審査保留となった。

約1年半かかった補正申請では、燃料集合体の最大装荷体数の減少や制御棒構成の変更で炉心設計を見直した。原子力機構は、安全性や照射試験実施に必要な性能確保の観点で設計した結果が10万キロワットとなったと説明し、「(初回申請での)説明が十分でなかった点は反省している。誤解を生じさせる説明だった。地元の方に心配をおかけした」と述べた。

提出した補正書に問題がなければ、保留中の再稼働審査が再開される。

(三次豪)