社説:首相訪中 懸案解決につなげたい

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 安倍晋三首相が中国を訪れ、日中平和友好条約締結40周年を祝う式典に出席し、習近平国家主席や李克強首相と会談した。

 日本の首相が、国際会議などを除いて中国を公式訪問するのは7年ぶりだ。

 両国の関係は、沖縄県・尖閣諸島を巡る対立などで冷え込んでいたが、東シナ海を「平和、協力、友好の海」とするため前進していくことで一致した。

 経済、安全保障を含む幅広い分野で、関係改善が加速することになるだろう。

 この流れを東アジアの安定と繁栄にも、つなげてもらいたい。

 関係改善の動きは、昨年の首脳会談などで、両国が経済分野での協力を確認してから始まったとされる。

 安倍首相が、距離を置いて見ていた中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を評価したこともあって、今年5月の李首相の訪日、そして今回の安倍首相訪中につながった。

 第三国でのインフラ開発では、協力し合うことになった。競争から協調に転じ、互いに脅威にならないとの原則を確認したという。共同事業の透明性や公平性が担保されるのであれば、歓迎すべきではないか。

 ただ、関係改善の背景には、中国が米国との貿易摩擦に苦しんでいることが挙げられる。度重なるトランプ米政権の関税引き上げなどで、中国の景気の動向も不透明さを増している。

 東南アジアなどでは、「一帯一路」の推進に伴う強引な経済支援に対して反発もある。ここは、日本と良好な関係を築いておくことが得策と判断したようだ。

 このため、尖閣諸島の問題などが解決したわけではなく、棚上げ状態になっただけといえる。南沙諸島の軍事拠点化といった覇権主義的な行為は続いている。

 日本は、関係改善をバネに、世界第二の経済大国にふさわしい振る舞いを、中国に求めていくべきだろう。

 北朝鮮の問題では、非核化に向けて両国が責任を果たしていくことで一致した。

 日本人拉致問題について中国側は、日朝対話による適切な処理を支持するとしたが、ロシアと北朝鮮を交えて行われた今月の高官協議では、北朝鮮に対する国連制裁を緩和することが必要、と強調している。

 こうした懸案については、中国側の真意を見極めながら、解決を模索しなければならない。 (京都新聞 2018年10月27日掲載)