調理員足りない、揺らぐ小浜の給食

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生徒や教職員400人分以上の給食を作る調理員たち=福井県小浜市内の中学校

 「食のまちづくり」を掲げる福井県小浜市で、学校給食調理員の欠員が続いている。同市は県内市町で唯一、全小中学校で自校式を貫いているが、ここ数年は定員に満たず現在5人足りない状態。食育という理念と、人手不足という現実の間で関係者は頭を悩ませている。

 市教委によると市内12小学校、2中学校の調理員の定員は、規模に合わせ各校2~7人の計46人。しかし実際は41人にとどまり、経験者2人の業務指導員に“助っ人”として回ってもらっているのが現状だ。欠員校では調理員の休暇などで、パンと牛乳などの簡易給食にしたケースもあったという。

 県内の他市町では次々と給食センター方式や民間委託方式を導入している中、県によると、全ての小中学校で自校式(米飯含む)を続けているのは小浜市のみ。同市教委教育総務課は▽出来たての給食を味わってもらう▽作り手の姿が身近に見える―などを理由に挙げ「食のまちづくりを提唱している小浜市としては、自校式を変える予定はない」と説明。市東部4小学校を統合して来春開校する小浜美郷小も、自校式とする予定だ。

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 市内最大規模の中学校の給食室では連日、30~50代の女性6人が約480人分を作っている。早番の出勤は午前7時半すぎ。水道水の塩素濃度検査を終えた同8時になると、市内外から続々と同僚が出勤してくる。

 この日の豚丼に使う肉は19キロ。レシピに合わせた動線図を基に、釜担当者が特大しゃもじで混ぜ、ほかの調理員は無駄のない動きでボールなどを洗う。同11時すぎにご飯が炊き上がり完成。食器洗浄や後片付け、さらに納品表、工程表、日誌などの記入業務が続く。

 帰途に就くのは午後4時ごろ。彼女たちは「土日は休みだし収入が安定する」「学校の一員として生徒の食を支えているというやりがいを感じる」などと言い、生徒からハンドクリームをプレゼントしてもらった話をうれしそうに教えてくれた。

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 野菜は食材ごとに3回洗い、フロアごとにスリッパを履き替えるなど衛生管理はかなり厳しい。欠勤を避けるため同居家族の体調管理も気を使う。調理員の一人は「念のため、二枚貝を食べられるのは冬休み前だけです」と苦笑するほどだ。

 市教委によると、20~60代の調理員の大半は1年ごとに契約更新する「非常勤職員」。正規職員と違い賞与はなく、夏休みの8月を除く11カ月の月給制だ。給与を時給に換算すると、900円台後半~千円という。

 市教委教育総務課の谷義幸課長は「他市町と比べ、待遇が悪いわけではない」とする一方で「厳しい業務だと知り、長続きしない人も少なくない」と説明する。市教委はハローワークの求人票に今秋から、就業時間を柔軟に対応できるよう明記したが「人材確保の決め手はない。ただ、待遇改善の方策は常に検討していく」としている。