「ドラフト制度」があった世界3つのサッカーリーグ

今年のプロ野球もクライマックスを迎えており、25日にはドラフト会議が行われた。新人選手を指名と抽選によって獲得するこの制度は、主にアメリカンスポーツに多いものだ。

しかし、欧州発のスポーツであるサッカーにおいても、ドラフト制度が導入されている国もある。今回はそんな数少ないリーグを紹介したい。

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韓国・Kリーグ

韓国のサッカーリーグでは、1988年にドラフト制度が導入された。これはその2年前にキム・チョンブが起こした契約トラブルに端を発している。

高麗大学でプレーしていた彼は現代ホランイ(現蔚山現代)から金銭的な支援を受けており、後に契約を結んだものの、12日間でそれを破棄して釜山入りを宣言したという事件だった。

現代はそれに反対する形でチーム解散を宣言し、協会はキム・チョンブを現代でも釜山でもない浦項へ移籍させるという珍しい解決策を使った。この問題を受けて、韓国は初めてドラフト制度を導入している。

2001年にその「第1期ドラフト制度」は廃止されていたものの、2005年に発生したパク・チュヨンの獲得を巡る浦項とソウルの争いを受けて復活することになった。

ちなみに、クラブユースとの兼ね合いについては「傘下の下部組織からは最大4名まで優先指名できる」というルールで両立が図られていた。

なお、その「第2期ドラフト制度」も2015年を最後に廃止が決定され、それ以降は完全な自由選抜で新人獲得が行われている。

アメリカ・メジャーリーグサッカー

学生スポーツが盛んなアメリカでは『MLSスーパードラフト』として新人選手の獲得抽選が一つの大きなイベントにもなっている。

かつてアメリカではサプルメンタル・ドラフト(独立リーグの選手が対象)とカレッジ・ドラフト(大学の選手が対象)の2つが行われていたが、これらが2000年に合併された。

現在ドラフトの対象となっているのはNCAA(全米大学体育協会)に所属している選手のみで、独立リーグからの獲得は自由化されている。

ただその一方、トロントやモントリオールが越境参加しているにもかかわらずカナダの大学が対象となっていないことには批判の声もある。

ドラフトと言えば自国の選手が指名されるもの…という印象があるが、アメリカではこのところ他国からの留学生が多くなっている。

2014年からのトップ指名はジャマイカ、カナダ、イングランド、ガーナ、ポルトガルと国際的で、下部リーグや学生リーグも含めて飛躍的にグローバルなものになっている。

また、2016年はJFAアカデミー福島の卒業生である遠藤翼が全体9位で指名され、トロントFCに加入したことも話題となった。

インディアン・スーパーリーグ

インドにはI-リーグという国内のコンペティションがあったが、2013年に「もう一つのリーグ」として創設されたのがインディアン・スーパーリーグだ。

IMGやリライアンス・インダストリーズなど大企業が共同で立ち上げたもので、当初はわずか3ヶ月の開催、しかも毎日1試合というユニークなスケジュールで行われたことでも有名だ。

そのためAFCから認められた正式なリーグではなく、所属しているクラブにACLへの出場権は与えられなかった。

I-リーグが他に存在しているのに、どうやって選手を集めるのか?そのために使われたのがドラフト制度である。

これは日本のプロ野球や前述のKリーグ、MLSと違って新人に留まらないもの。I-リーグのクラブに所属している選手を各クラブの入札によって分配するというシステムだった。

インディアン・スーパーリーグはもともとクリケットのIPL(インディアン・プレミアリーグ)を参考にしてシステムが作られたことから、それと同じドラフト制度が導入されている。

各クラブには外国人選手や若手を保有する権利があるものの、その他についてはこのドラフトで補強しなければならないのだ。

なお、インディアン・スーパーリーグは昨年から開催期間が延長されており、優勝者にはAFCカップの出場権も与えられるようになっている。

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