【平成の長崎】野球場、あぐりの丘、ブリックホール 長崎で相次ぐ大型施設 平成10(1998)年

 1998(平成10)年は、長崎市が手掛けていた大型公共施設の完成が相次いだ。4~5月に柿泊町の市総合運動公園内の野球場(総事業費約13億円)と陸上競技場(同約30億円)、7月に四杖町でレジャー施設「あぐりの丘」(同約40億円)などがオープンした。
 中でも10月1日に開館した茂里町の長崎ブリックホールは総事業費が約270億円と特に大きく、市の文化行政が本格化した時代を象徴する施設でもある。
 2千席の大ホールや国際会議場などを備え、外壁は約32万個のオランダ製れんがで飾られた。名称は全国公募し、名誉館長には市出身の歌手さだまさしさんが就いた。開館準備に携わった元担当職員の待山有史さん(62)によると、当時は市公会堂が中心的な文化施設だったが、老朽化や使い勝手の面で課題があり、代替施設を求める文化団体の要望もあったという。
 開館後3カ月間は記念三大事業として、オペラ「蝶々夫人」の本県初の本格公演、米ボーカルグループ「マンハッタン・トランスファー」、市民創作舞台「長崎時空漂流記」の公演が立て続けに開かれた。待山さんは「仕事で家に帰れず、泊まり込みで準備に当たることもあった。よくやれたなと思う」と振り返る。施設は今も市の文化芸術・コンベンション(MICE)の中心拠点となっている。
 大型施設整備に伴う市の借金は通常15~20年で返済するため、現在はピーク時に比べ落ち着いているという。時代は一巡し、市は新たに総事業費がそれぞれ200億円を超えるMICE施設や新市庁舎をはじめ、解体した公会堂の代替となる文化芸術ホールなどの整備を続々と計画している。
 人口減少が急速に進む中、市財政の将来を不安視する市民の声もあるが、市財政課は今のところ「やれる体力はある」と説明している。(平成30年10月26日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

バレエなどの催しで長崎ブリックホールの開館を祝った=1998年10月1日、長崎市茂里町

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