【MLB】カーショーは「衰えを見せるスター」 NY紙が指摘、契約破棄なら年俸ダウン!?

ドジャースのクレイトン・カーショー【写真:Getty Images】

今季終了後に契約破棄の権利を持つカーショー、「現在の相場」は…

 2年連続でワールドシリーズに進出し、レッドソックスと激闘を繰り広げているドジャース。エースのクレイトン・カーショーは23日(日本時間24日)の第1戦に先発したものの、4回7安打5失点と打ち込まれて敗戦投手に。ドジャースは第2戦も敗れて連敗と苦しいスタートとなった。カーショーは今季終了後に契約を破棄してフリーエージェント(FA)となれる「オプトアウト」の権利を持っており、行使は確実と見られているが、米メディアは力が低下していると指摘。平均年俸は下がる可能性が高いと伝えている。

 カーショーについての特集を組んだのは米紙「ニューヨーク・ポスト」だ。「クレイトン・カーショーの6500万ドル(約72億8000万円)の疑問が、複雑化しつつも迫ってきている」とのタイトルをつけ、メジャー屈指の左腕の契約問題について「最も重要なオフの疑問の1つ」と表現している。

 記事では、2014年から7年総額2億1500万ドル(約240億円)のメガディールを結んでいるカーショーが、今季終了後に残る2年総額6500万ドルの契約を破棄してFAとなれる「オプトアウト」の権利を行使する場合、ワールドシリーズ終了後72時間以内に決断しなければいけないというルールを紹介。そして、「この衰えを見せるスターの現在の相場はどのくらいだろうか?」と投げかけている。

 若くしてドジャースのエースとなり、長らくメジャー最強投手として君臨してきたカーショーは、30歳にして3度のサイ・ヤング賞、1度のシーズンMVP、3度の最多勝、5度の最優秀防御率、3度の奪三振王など圧倒的な実績を残してきた。ただ、近年は故障がちで、今季まで3年連続で200イニングに到達せず。2016年と今年は規定投球回にも乗っていない。腰の故障の影響か、それとも衰えなのかは分からないが、球速の低下も明らかだ。

「来年の3月に31歳になるカーショーは今季全体的に素晴らしく、防御率2.79であった。しかし、衰えが顕著に見られるようになった。彼は2度故障者リスト入りした。1度は上腕二頭筋の怪我、そして何年も抱えている腰の怪我で3度目の故障者リスト入りをした」

「カーショーの直球の平均球速が3年連続で下がり、90.9マイル(約146.3キロ)となった。そして、ワールドシリーズ第1戦で見られたように、カーショーの直球とスライダーの球速にはあまり差がなく、レッドソックス打線にとって打ちやすかった」

 ニューヨークの地元紙である「ニューヨーク・ポスト」もこのように指摘。30歳を過ぎてから衰えていく様子を地元ヤンキースのベテラン左腕CC・サバシアと重ね合わせている。そして、球界全体で30代の選手との長期契約を避ける傾向になっていることにも言及。大型契約は難しいと見ている。

FAなら新契約は年平均3000万ドルを下回る可能性?

「カーショーはどこかで総額6500万ドル以上の契約を勝ち取ることができるだろうか? 恐らくできるだろう。しかし、年俸3000万ドル(約33億6000万円)以上はどうだろうか。その可能性は、前者(総額6500万ドル)よりは下がるだろう」

 つまり、3年超の契約で総額6500万ドル以上とすることは可能だが、年平均は3000万ドルを下回る可能性が高いという。現在の契約では、2年で年平均3250万ドル(約36億4000万円)だから、年俸自体は下がるということになる。もちろん、これはあくまで「ニューヨーク・ポスト」の予想だが、実際にカーショーと代理人がどのように自己分析しているかは興味深い。

 記事では「ドジャースの分析重視のフロントは、平凡な先発投手に今のカーショーのような衰えの兆候が見られたら、放出するだろう」と指摘。つまり、普通の投手がオプトアウトを選択し、FAとなった時、力の衰えを感じていればドジャースは再契約には動かないというのだ。

 ただ、今回の相手は他でもないカーショー。「ドジャースにとってカーショーは普通の選手ではない」と指摘し、「ワールドシリーズ第1戦の不調でポストシーズンの汚点を増やしたが、彼は球団史上最高の選手の1人である。オーナーはこの左腕の契約延長には、レガシーが重要な要素だと判断することになり得るだろう」。ドジャースにとって特別な存在であるカーショーを力の衰えが理由だけで“放出”することはできない。

 同紙はさらに、カーショーの代理人が田中将大投手と同じケーシー・クロース氏であることにも注目。クロース氏は「市場に敏感」だという。田中は昨オフ、オプトアウトせずにヤンキースに残留したが、その後のFA市場の動きは歴史的な停滞を見せ、最後は妥協して希望よりも大幅に低い金額で契約を結ばざるをえない状況に陥った選手も多かった。そのため、田中は昨オフの「勝者」とも言われたが、果たしてカーショーが同じような判断をする可能性はあるのか。

「カーショーはドジャースに残ることを決断し、7年契約を全うすることを常に考えていたと主張することで、市場の不透明さを回避することもできるだろう。しかし、彼はプライドの高い人間であり、ドジャースが引き留めるために更なる配慮を示さなければ、彼は拒絶されたと感じ、去ってしまうだろうか?」

 記事では、カーショーの人間性にも触れ、今後の展開を予想することがいかに難しいかを説明している。メジャー屈指の左腕はワールドシリーズの後、どのような決断を下すのだろうか。(Full-Count編集部)

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