増えすぎたツシマジカ・2 国県市「戦略検討会議」設置へ

 深刻化するツシマジカ被害を受け、環境省、林野庁、県、市が連携して対策に乗り出す。来年初めにも「シカ対策戦略検討会議(仮称)」を設置。捕獲目標数などを協議していく方針だ。
 環境省などによると、対馬の昨年度のシカ捕獲数は5570頭。内訳は市が5401頭、林野庁117頭、県50頭、環境省2頭となっている。対馬のシカ推定生息数(3万9200頭)に自然増加率(16%)を掛けた「年間推定自然増加数」は6272頭。1年間に増える頭数よりも捕獲数が少なく、生息数減少にはつながっていないのが現状だ。
 県は対馬のシカ適正頭数を3500頭としている。一方、環境省は生態系への影響が少ない頭数を2100~3500頭と見積もっており、実現には長い年月がかかるとみられる。
 環境省対馬野生生物保護センターの山本以智人上席自然保護官は「生態系保全に向け、国と自治体がシカ対策で連携したのは屋久島(鹿児島県)などで数例あるだけ」とした上で、「対馬ではツシマヤマネコなどほかの野生生物にも配慮した捕獲法を検討する必要がある。会議を通じ、情報共有を進めていきたい」と話している。

シカの角とぎ被害に遭ったヒノキの幹=対馬市厳原町内山地区の山中

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