小児科医男性「不登校増は当然」

©株式会社福井新聞社

不登校の親の会で相談に応じる小児科医の坂後恒久さん=10月18日、福井県敦賀市プラザ萬象

 福井県内の小中高校で2017年度の不登校者数が6年ぶりに千人を超えた。不登校の子どもがいる親の会が県内に少なくとも五つあり、福井市の小児科医坂後恒久さん(67)は、そのうち四つの会に30年以上通い、親たちの相談に乗り続けている。一貫しているのは「小児科医として子どもの立場で話すこと」。学校現場に「子どもを合わせようとするのではなく、子どもに歩み寄ってほしい」と願う。

 坂後さんは福井県立病院や県こども療育センターの勤務医だった1980年代半ばに、福井市で活動する親の会「やよい会」に関わるようになった。嶺南地方からやよい会に通っていた親たちが敦賀市内で立ち上げた親の会をはじめ、小浜市、名田庄村(現おおい町)、今立町(現越前市)にできた親の会にも顔を出し続け、やよい会を除く四つの会で相談に応じている。

 坂後さん自身、子ども4人のうち2人が不登校を経験し「不登校は子どもと学校の相性の問題で、医療面でできることはほとんどない」と語る。県教育委員会(教委)や市町教委が設ける「適応指導教室」を例に、「学校が子どもに合わせられるよう工夫してほしいが、学校側は子どもが適応できるよう指導するという考え方」と指摘。「学校の決まりは子どもの管理が目的で、楽しく学ぶためではない。不登校が増えるのは当然」と手厳しい。

 「みんなが学校に通う中で『学校に行かない』という決断はとても勇気がいる。お子さんは自立しているんですよ」。敦賀市プラザ萬象で毎月第3木曜夜にある「敦賀親の会」の会合に参加した嶺南地方の40代女性は、坂後さんの言葉が「胸にストンと落ちた」と振り返る。「我慢し続けて心が壊れる前に、休んでくれてありがとうと思えるようになった」と感謝する。

 学校に行かなくなっても立派に成長する子どもの姿をたくさん見てきたという坂後さんは「親にとっては子どもの将来が見えないことが一番の不安だが、子どもに道を教えるのではなく、道を見つける手だてを子どもと一緒に考えてほしい」と願っている。