「私たちって犬?」イケア広告に女性たちの怒り

By 太田清

イケアの広告。ツイッターから

 スウェーデン発祥の世界的家具量販店イケアのロシア子会社が、広告をフェイスブックに投稿したところ、同国の女性から女性差別だとの批判が殺到、広告を削除し謝罪する羽目に追い込まれた。ニュースサイト「ニュース・ルー」などが29日までに報じた。 

 広告は、テーブルの上に同社製品とみられる敷物を敷いた上で、その上にロシアのパンケーキ「ブリヌイ」とジャムを置き、いすに一匹の犬が座っている様子を撮った写真で16日にアップされた。「もし、彼の車をひっかいて傷つけるか、スリッパをかじってしまった場合」として、「ジャム付きのブリヌイを料理してください」「彼のお好みの敷物をテーブルに敷いてください」「軽くほほえんで彼を迎えてください」「『あなた、お話しすることがあります』という言い回しは避けてください」とのアドバイスが書かれている。 

 これを見た多数の女性ユーザーから「女性を犬扱いしている」「女性差別だ」「消費者の50%(女性)を犬にたとえたことを自覚している?」「おもしろくない」などと怒りの投稿が殺到。 

 これに対し、イケアの広報担当者はラジオ局「ガバリット・モスクワ(モスクワは話す)」に対し、「イケアは男女平等の権利を守ることに真剣に取り組んでいます。この投稿に(女性などに対する)ネガティブな意味を込めたつもりは全くありませんでした。しかしながら、弊社の意向と違った意味でとられたことは自覚しています。お怒りになった皆様に真剣におわびします。この投稿は削除されました」と語り、広告を取り消したことを明らかにした。 

 イケアとしてはユーモアを込めた広告のつもりだったのだろうが、「料理をする」「テーブルを飾る」「家人を迎える」といった女性の「ステレオタイプな行動」を強調した上に、犬にたとえられたことにロシアの女性の怒りが爆発したもよう。 

 ちなみに最後のアドバイス「お話しすることがあります」は、家に帰った夫に対し、妻が頭を悩ませている問題(しゅうとめとの関係や子供の教育問題など)を持ち出すときによく使う表現で、一般的に夫はこの言葉を聞くと「どきっ」とするとされている。 

 怒りの反応が大部分だったが、一部では「なんでも女性差別に結びつけるの?」と、批判そのものを疑問視する投稿もあった。 (共同通信=太田清)

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