犯罪被害者らに寄り添う社会を 県内全自治体で支援条例施行

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犯罪被害者を支援するための条例案を全会一致で可決した日出町議会。県内全自治体で条例制定が実現した=9月28日、日出町役場

 犯罪の被害に遭った人やその家族を支える条例を県と県内の全18市町村が制定し、今月までに施行した。いずれも周囲の心ない対応などで傷つく「二次被害」の防止を明記したのが特徴だ。整備を求めてきた遺族らは「県内どこでも同じように支援が受けられるシステムがようやくできた。被害者が地域で生きやすい社会になってほしい」と願う。

 制定のきっかけは、県内遺族でつくるピアサポート大分絆の会と民間支援団体の大分被害者支援センターが2016年夏に始めた請願活動。次男=当時(24)=を飲酒ひき逃げ事故で亡くした絆の会代表の佐藤悦子さん(67)=国東市=が各地の議員を訪ね、必要性を説明した。「被害者は守られているはずと思っていた」「裁判を終えても苦しみがあるのが分かった」と各議会で賛同意見が相次いだ。

 トップを切って整備したのが県。今年4月に施行された県条例は、全国に先駆けて二次被害の定義を盛り込んだ。被害者が安心して暮らせるよう必要な支援を途切れなく提供するため、経済的負担の軽減をはじめとした基本施策も規定した。

 市町村も同様の内容。今年3月に国東市など5市村の議会が条例案を可決して以降、6月定例会で6市町、9月定例会で残る7市町議会が可決した。被害者にとって身近な相談窓口は従来も全市町村で設けていたが、条例化により存在が明確になった。

 今月1日に施行した大分市は「窓口を訪れた被害者をたらい回しにせず、一本化して対応ができるよう、関係各課が連携する体制づくりを進めた」(市民協働推進課)。被害の状況やどんな支援が必要かは一人一人異なるため、どうやって適切な対応をしていくかが課題だという。

 条例制定と併せ、各市町村は4月から、殺人などの犯罪行為で亡くなった人の遺族や1カ月以上のけがをした人に見舞金を支給する制度を導入。その半額を県が補助する独自の仕組みを設けた。民間団体も含めた実務担当者が情報共有や事例検討をする「ネットワーク会議」も立ち上げた。  会議のメンバーにも加わった佐藤さんは「(制定を訴え)突っ走ってきたことが無駄ではなかった。周りの人たちに被害者の置かれた状況や条例を知ってもらうことも大切。地域全体で寄り添う社会になってほしい」と望んでいる。