ギャンブル依存 相談を 現状や課題を聞く 長崎こども・女性・障害者支援センター所長 柿田多佳子さん(59) 

 〈カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指す長崎県。一方、ギャンブル依存症対策はどうなっているのか。県の相談拠点のトップに現状や課題を聞いた〉

かきた・たかこ 長崎市出身。九州大教育学部卒業後、1982年に社会福祉職として県に入庁。福祉事務所、こども家庭課などで勤務し、2015年4月から佐世保こども・女性・障害者支援センター所長。18年4月から現職。

 -主な対策は。
 4本の柱がある。「相談」では依存症専門相談窓口を開設。本年度内に対応に有効なマニュアルを作る。「普及啓発」では啓発パンフレットを作り住民に知らせ、「教育」では高校生、大学生向けの講話などを開催。「回復支援」では、依存症当事者や家族の回復を目指し、さまざまなプログラムで支援している。

 -足りない点は。
 まだ依存症の正しい知識や相談窓口が周知されていない。保健所や市町の職員にも対応能力を上げてもらう取り組みが必要。

 -本年度に依存症の専門相談員を配置した。変化は。
 配置したからというわけではないが、ギャンブル依存症の相談件数は増えている。2016年度(83件)、17年度(117件)に対し、18年度は10月末までに102件。島根県が開発したギャンブル障害の回復プログラムも用い、継続支援につながっている。

 -ギャンブル依存症問題を考える会の代表は、ギャンブル依存症の多くはパチンコ・パチスロ依存症と指摘する。
 パチンコ、パチスロで困った状態になった人が多いが、どうしてはまったのかなど詳細に分析した視点で把握していない。そういった分析が必要かどうか今後考えていく。

 -6月に発足した全国ギャンブル依存症家族の会長崎支部との連携方法は。
 県主催の依存症対策ネットワーク協議会に(同支部代表に)委員として参加してもらっている。施策の立案、遂行に意見をいただく。われわれが関わっていない当事者や家族へもつないでもらえれば。

 -IRの誘致でギャンブル依存症は増えると思うか。
 先行研究や知見でカジノがあれば依存症が増えるかはつかんでおらず、判断材料がない。ただ、IR関連の報道でセットのようにギャンブル依存症が国民に知られ、アナウンス効果がある。IRの誘致実現は別にしても、依存症対策が重要という社会的な流れは確実にある。粛々とやる。

 -ギャンブルの業界側に求めることは。
 利用者の身近にいるので、啓発パンフレットを利用してもらうために協力してもらうなど連携は考えられる。

© 株式会社長崎新聞社