滋賀の方言、使う? 「知らない・使わない」6割も湖北で健在

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滋賀の方言・対象別アンケート結果

 「そのお菓子、たい」「おおさわなお返しや」。あなたは滋賀県の方言をご存じだろうか。京都弁や大阪弁より影は薄いものの、独特でユーモアを感じさせる語感に親近感がわく。しかし、この「近江ことば」は日常の取材でほとんど聞かない。実際に滋賀県民はふるさとの方言を使っているのだろうか。ひょっとして失われた言葉?。調査してみた。

 「今から滋賀の方言アンケートをします」。今月上旬、大津市の大津高で教諭が告げると、1年生の教室はざわめいた。「滋賀に方言なんてあるの?」。困惑する生徒たち。テスト形式で回答してもらうと「わからん…」の声が漏れた。

 京都新聞は今月、大津高と長浜北高(長浜市)、高齢者らが学ぶ「レイカディア大学(レ大)」の草津、米原校の4者の協力で調査を行った。計366人から回答を得て、年代と地域別で分析した。

 まずは「滋賀の方言を使うか」と尋ねた。

 全年代の合計は「使わない」「知らない」が6割と多数派になった。特に大津高(118人)は8割が「知らない」。1年の男子生徒(16)は、「周囲で聞いたことがない」と苦笑した。レ大草津校(110人)でも6割で、地理的に京都に近い湖南地域で薄れつつある現状がうかがえる。

 一方、湖北では健在のようだ。「よく」「時々」を合わせた「使う」は、長浜北高(112人)とレ大米原校(26人)で6、7割を占めた。「親しみの湧く言葉」(長浜市・68歳女性)と愛着も聞かれた。

 “方言生存率”の南北格差だろうか。いや、結論を出すのは早い。「自分が方言を使っているか分からない」との意見も多く、無自覚に発している人もいるだろう。

 より検証するため、具体的な10の方言の意味も聞いてみた。あんない、うい、けなるい…。市井の研究者と相談して出した問題は、大阪府と京都市出身の記者にはお手上げだ。湖南地域の高校生にとって手強い言葉だと推察していた。

 ところが結果を見ると、思いの外、若者が底力を見せた。ぬくといは大津高が82%、長浜北高90%と高い正答率をマークした。やーれんも大津44%、長浜北97%。この2問では、それぞれ同じ地域の高齢者を上回った。

 10問の平均正答率を分析した。湖北はシニア層が68%で、高校生の38%に大差を付けた。一方で湖南は高齢者らの36%に対して高校生は29%と健闘した。

 レ大草津校の回答者は、6割が県外からの移住者。会社員中村俊逸さん(77)=草津市=が「山口県から来たから滋賀の言葉はよく分からない」と話す。職場が京阪神の人も多く、方言に触れる機会が限られていたのかもしれない。

 『関西弁事典』(ひつじ書房)で滋賀県の項目を担当した滋賀大の松丸真大教授(方言学)は「全国的に若者が方言を使わなくなっている中、高校生の方が使用率の高い言葉があるのは驚きだ。共通語と思い込みながら、実は方言を話しているケースがあるのかもしれない」と話した。