価格決定方式の適正化問題、特殊鋼倶楽部が経産省に要望書

 特殊鋼倶楽部(会長・石黒武大同特殊鋼社長)は29日、特殊鋼に関わるサプライチェーン全体の取引適正化に向けて、価格決定方法の適正化問題の改善と実態調査に関する要望書をまとめ、経済産業省金属課に提出した。金属課は理解を示し、「要望を踏まえ、引き続き自動車業界および関係業界に対して理解、協力を要望していく」としている。

 特殊鋼倶楽部は「未来志向型の取引慣行に向けて『世耕プラン』に関する要望」と題する文書で、世耕プランを「サプライチェーン全体にわたる取引環境の改善に向けた取り組み」と高く評価する一方、「鉄鋼加工メーカーなどと特殊鋼最終ユーザーとの関係において、適正取引ガイドラインに抵触する恐れがある問題が依然として継続している」と指摘。

 価格決定方法の適正化問題(合理的説明のない価格低減要請の禁止、原材料価格・エネルギーコストや労務費上昇の取引価格への反映)に焦点を当て、適正化ガイドラインの再徹底や自動車・部品産業の自主行動計画の実態調査、不適切事例の指導・改善を要望した。

 自動車部品業界では、2018年度下期の特殊鋼棒線の支給価格と市場価格の乖離や、支給価格を一方的に自給圏に押し付ける商慣行が深刻な問題になっている。

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