【片言隻句】業界紙の〝未来予想図〟

 「業界紙が業界の合意形成のプラットフォーム、という時代は、このまま何もしなければ終わりつつあるな」―というのが率直な感想。新聞も自己批判すべき時が来た。

 昨年から約20回「業界紙の活用講座」という企画を実施している。うまくいったとき、失敗したとき、今思い出しても赤面する話など、多くの反省はある。何より、とりとめもない話を我慢して聞いていただいた鉄鋼人各位の優しさ、思いやりには心から感謝だ。

 講座を繰り返すうちに見えてきたのは、若い世代を中心に「新聞になじみがない」ということ。やはり、飛び出して初めてわかることは多い。

 考えてみると、新聞社が自らの問題点をあぶり出そうとせず旧態依然でいるならば、離れていくのは当然ともいえる。若い世代の判断は素早い。メディアは多様化し、民放テレビでさえも若い世代は関心をなくしている。

 ITの基本は「ペーパーレス」。この時点ですでに、新聞はぐらつく。だから今まで以上に、出す情報や記事としての料理の仕方を常に工夫すべきなのだ。

 それと、今までずっと誤解していたことがある。業界新聞全般に言えることだろうが「一般紙などが取り上げないきめ細かな情報や話題を提供しているので、今でも一般紙ほど部数を減らさずにやっていけるのだ」と、思い込んでいた。しかし、それは間違っていた。

 読者の意外に多くの方面で、IT化がまだあまり進んでいないから、何とか紙で読んでいただいているというわけだったのだ。ビジネスコンテンツの完成度が高いほど、変化への対応には時間がかかるのか。

 読者各位が遅れているとか何とか、そんなことを言いたいのではない。IoT、AIが普及・発展すれば、各位のビジネスの仕方もある時点を境に大きく変わっていくだろう。

 そう遠くない将来に起こる変化に対して、リストから外されないためにどうすべきか。業界紙だけではないかもしれないが、転機は「これから」なのだ。

© 株式会社鉄鋼新聞社