福井大病院にがんゲノム外来開設

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11月1日に開設するがんゲノム外来について説明する(左から)根来英樹助教、片山寛次教授ら=10月30日、福井県永平寺町の福井大学松岡キャンパス

 がん患者の遺伝子の特徴に応じて最適な治療法を選ぶがんゲノム医療で、福井県内唯一の連携病院に指定されている福井大医学部附属病院(永平寺町)は11月1日、がんゲノム外来を開設する。抗がん剤など従来の標準治療を終えた患者らに対し、がんの原因となっている遺伝子変異を特定する検査を行い、個別に治療方法を判断する。同病院がん診療推進センターは「治療方法がなくなった患者に情報を与え、闘うすべを与えていきたい」としている。

 がんゲノム医療を巡っては、厚生労働省が4月に全国11カ所の中核病院と100カ所の連携病院を指定。県内では福井大医学部附属病院が選ばれ、連携先となる中核病院の京都大医学部付属病院、名古屋大医学部付属病院と、外来開設に向けたシステム構築を進めてきた。

 院内外で標準治療を終えた患者や、治療方法がない患者が主な対象。がん細胞が含まれる組織を採取し、外部機関の解析装置で遺伝子を検査する。遺伝子変異を明らかにして、中核病院とのテレビ会議で治療方法を決める。

 従来の抗がん剤治療は、主にがんの種類に応じて行われ、正常な細胞にも影響し、患者ごとに効果や副作用が一定ではなかった。ゲノム治療は、患者ごとの遺伝子変異を把握し、がん細胞のみを狙う薬を投与できるため、高い効果が得られる。

 国立がん研究センターで2013~16年に行われたゲノム医療では、治療後の追跡調査ができた64件のうち、17%に当たる11例で遺伝子異常に合った投薬につながっていた。

 福井大医学部附属病院は、がんゲノム外来の正式開設に先立ち、16歳以上が対象の検査を10月から開始。今後は対象患者に制限がなく223種類の遺伝子を調べられる検査なども取り入れていく。

 30日に記者会見した同病院がん診療推進センターの根来英樹助教は「個々のがんが持つ遺伝子変異に合わせ、個別化医療が実現できる」と強調。センター長の片山寛次教授は「患者のデータを日本中で集め、遅れている遺伝子治療で一気に世界をリードできるように、われわれも取り組む」と述べた。

 ■がんゲノム医療 がん患者の遺伝子を調べ、特徴に応じた最適な治療法を選ぶ医療。がんは正常な細胞の遺伝子が変異し、増殖が止まらなくなって発症する。変異は患者によってさまざまで、発症部位が同じでも薬の効き方が異なる場合が多い。変異を特定することで、効果の高い薬や治療方法が選べるようになる。