【日本S】打線に火がついたソフトバンク&広島 今後を左右するのは広島の走塁か

広島・丸佳浩とソフトバンク・柳田悠岐(左から)【写真:荒川祐史】

ホークスはデスパイネが大爆発、あとは上林の復調待ち

 10月30日の日本シリーズ第3戦は、9-8でソフトバンクの勝利となった。このスコアは、日本シリーズ史上最大得点での1点差試合だった。

 広島は後半に安部友裕のこの日2本目になる満塁本塁打で1点差に迫った。大健闘と言えるだろうが、パ・リーグ本拠地でのセ・リーグ球団の連敗は「13」に伸びた。

 ここまでの両軍の主要打者の打撃成績を見てみよう。

【ソフトバンク】

川島慶三
5打2安0本0点0盗0盗死 率.400

デスパイネ
8打3安1本5点0盗0盗死 率.375

柳田悠岐
10打3安0本2点0盗0盗死 率.300

明石健志
7打2安0本0点0盗0盗死 率.286

内川聖一
7打2安0本0点0盗0盗死 率.286

今宮健太
7打2安0本1点0盗0盗死 率.286

グラシアル
13打3安0本0点0盗0盗 率.231

中村晃
13打2安0本1点0盗0盗死 率.154

上林誠知
11打1安0本0点0盗0盗死 率.091

甲斐拓也
9打0安0本0点0盗0盗死 率.000

 30日の試合で主軸の柳田が2安打、打線の好不調の起伏が徐々に小さくなっている。ポストシーズンに強いデスパイネは、今年のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ以降すでに15打点を叩き出し、極めて警戒すべき存在になっている。また川島も工藤監督の抜擢に答え、2安打した。

 上林がまだ1安打と不調。また捕手の甲斐拓也がまだ無安打だが、捕手の重責があり、無理からぬ部分もある。

広島の4番・鈴木は絶好調、主砲・丸のバットが湿ったまま

【広島】

鈴木誠也
14打8安2本5点0盗1盗死 率.571

松山竜平
13打5安0本2点0盗0盗死 率.385

菊池涼介
12打4安1本1点0盗0盗死 率.333

野間峻祥
12打4安0本0点0盗1盗死 率.333

會澤翼
9打3安0本1点0盗0盗死 率.333

田中広輔
13打4安0本0点0盗2盗死 率.308

安部友裕
11打3安2本5点0盗0盗死 率.273

丸佳浩
12打1安0本1点0盗0盗死 率.083

バティスタ
3打2安0本0点0盗0盗死 率.667

メヒア
3打0安0本0点0盗0盗死 率.000

石原慶幸
3打0安0本0点0盗0盗死 率.000

 打線は好調だ。4番の鈴木誠也が30日は2打席連続本塁打を含む3安打。一方で3番の丸がまだ1安打。シーズンを引っ張ってきた主軸のバットが湿っているのは気がかりだ。

 もう一つ、気がかりなのは走塁だ。チームで5回盗塁を企図して1度も成功なしの5盗塁死とソフトバンクの甲斐、高谷両捕手の強肩の餌食になっている。

 ソフトバンクはここまで1度も走っていないのに対し、広島は5つのアウトを献上している。昨日も1回表の先制機に田中広輔が二塁で刺されたが、自重していれば得点機が拡がった可能性がある。

 今年の広島は「積極走塁」が目立った。レギュラーシーズンの盗塁数は95でリーグ最多だったが、盗塁死も49で最多。精度が高かったとは言えない。五分の星に戻ったが、今後の展開を考えれば、100%成功する自信がある時以外、盗塁は自重した方がいいかもしれない。

 両軍ともに打線に火がついた。投手陣には受難の時期に入ったかもしれないが、31日の4戦目が今後の展開を占う上で大きな分かれ目になるだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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