<川口いじめ訴訟>市側、認否は12月に 誹謗中傷やいじめ行為の具体例求める 生徒側「時間稼ぎ」

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 川口市立中学校に通っていた男子生徒(16)=現在高校生=がサッカー部員のいじめや顧問教諭の体罰で不登校になったのは学校や市教委が適切な対応を怠ったとして、川口市を相手取り、550万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が31日、さいたま地裁(岡部純子裁判長)であった。市側がいじめの認否を次回の口頭弁論で提出するとしたことから、生徒側は「時間稼ぎをしているとしか思えない」と厳しく批判した。

 被告の市側はこの日、いじめがあったか否かについての認否について、次回12月26日の口頭弁論に提出するとした。生徒側の森田智博弁護士は閉廷後の記者会見で、「9月の提訴から既に1カ月以上経過しており、被告は時間稼ぎをしているとしか思えない」と批判した。

 さらに証拠を巡る市側の対応にも疑問が示された。市側がこの日の法廷で生徒側に対して、ライン(LINE)上で行われた誹謗(ひぼう)中傷や「死ね」などのいじめ行為について、具体例を示すことを求めた。

 森田弁護士はこれに対して「市が設置した第三者委員会に被害者から(ラインの証拠は)提出されていて、川口市教委に保管されているはずの証拠類だ。それらの提出を求めるとはどういうことか。時間稼ぎではないか」と疑問を呈した。生徒の母親も「市教委が持っているものを出せというのは全くおかしい」と怒りをあらわにした。

 母親は「いじめがあったことは市の第三者委が認めた事実で、この点を争うのではなく、学校や市教委の対応が不十分、不適切だったことを裁判で争うつもりだ。事実の隠ぺいなど教育委員会の不適切行為が全国いろんな所で起きているので、この裁判に対する関心は高い。全国から『絶対勝ってほしい』と励ましが来ている」と話した。

■原告の生徒が心情記す手紙

 この日、生徒は裁判長宛ての手紙を母親に託し、母親が報道陣に公表した。生徒がこの裁判に対する思いをつづった内容といい、裁判所に今後提出したいという。

 手紙は「教育委員会と学校は、もう本当にうそをつくのを、やめてほしい。裁判では絶対うそをつかないで本当のことを言ってください…(教育評論家の尾木直樹さんら)みんな、ぼくをわかってくれて早く解決しようとしたのに、その人達にまで、市教育委員会と校長がうそをついてたことをぼくは絶対許さない…」と思いをつづった。

■保護者に説明「分からない」/市教委課長

 川口市立中学3年の男子生徒(14)がいじめを苦に3回にわたり自殺を図り一命を取り留めていた問題で、この問題を調査しているとされる第三者委員会による調査について、市教委の岩田直代指導課長が30日、報道陣の質問に答え、この事件で第三者委員会を設置したこと、調査の内容、いじめ防止法の仕組みなどについて、男子生徒の保護者に説明したかどうかについて「分からない」と答えた。

 岩田課長は「近く、男子生徒の保護者にきちんと説明したい」と話した。