播州織産地から初の最高賞 織物の全国コンテスト

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受賞作「ニューギャバジン」を手にする小野圭耶さん=西脇市高田井町

 テキスタイル(織物)産業の技術力やデザイン力などの強化を目指した「ジャパン・テキスタイル・コンテスト」で、東播染工(兵庫県西脇市高田井町)のデザイナー小野圭耶さん(33)が播州織の産地から初めて、最高賞のグランプリを獲得した。新人賞には島田製織(同市野村町)のデザイナー白本恵美さん(33)が輝いた。(長嶺麻子)

 同コンテストは1991年にスタート。織物産地の愛知県一宮市などによる実行委員会の主催で、2018年度は一般の部178点、学生80点の応募があった。一般では芸術性に加え、市場に展開できるかという視点でも審査される。

 小野さんの受賞作「New Gabardine(ニューギャバジン)」は、トレンチコートなどに用いられるギャバジンに新たな提案を加える。目の詰まったドビー織りで陰影を出し、光沢感、しわ感のある仕上げで、「(自分が)憧れを抱くクラシックの分野に、一癖を加えたかった」と狙いを語る。早ければ1年後、コートなどとして店頭に登場する見込みだ。

 白本さんは神戸芸工大で助手を務めていた際、産地で生地作りに携わりたいと4年前、島田製織に入社。上質でプレーンな生地を特徴とする同社で、テキスタイルデザインを担ってきた。絹に似た光沢感のある再生繊維の一種、ベンベルグを同社が素材テーマにした際、「少し挑戦してみよう」と応募を決めた。

 「着る服でその人の気分が変わったり、人とのコミュニケーションにつながったりするのが理想」と白本さん。同社のブランド「ハツトキ」が使用する極細の綿糸を縦糸、ベンベルグを横糸に使い、なじみある多可町の製織会社に依頼し、柄が揺らいで見えるよろけ織りの「夜と波」を作った。光の当たり具合で見え方が多彩に変わる、ドレス向きの生地となった。

 西脇高校生活情報科卒業の小野さんは専門学校を経て、デザイナーがほぼいなかった西脇へと戻ってきた。2016年に東播染工のデザイナーとして声が掛かる前は島田製織に在籍しており、白本さんを指導した関係で、互いの受賞を喜んだ。取引先を着実に国内外へと広げている2人は「ほかのデザイナーとも刺激し合って、もっと成長していきたい」と抱負を語った。