チャーター便運航しツアー 五島⇔済州島 国境観光で交流活発化へ CIQ施設 整備など課題も

 長崎県五島市と韓国・済州(チェジュ)島を結ぶチャーター機を使ったツアー旅行が10月29~31日にあり、野口市太郎市長や市職員、市民ら49人が参加した。国境周辺地域を往来し、文化や暮らしを体感する観光形態「国境観光(ボーダーツーリズム)」の一環。市は今回の運航を「第一歩」としており、将来的には済州島や釜山(プサン)、福岡市を絡めた観光商品の開発など、文化・経済的な交流を活発化させたい考えだ。
 ボーダーツーリズムを巡っては、野口市長が代表幹事を務める境界地域研究ネットワークJAPAN(JIBSN)が旗振り役となり、これまでにも福岡-対馬-釜山や、稚内-サハリンなどを結んだモニターツアーが実施された。済州島は、五島から最も地理的に近い海外で、ツバキやジオパークなど共通項も多い。
 今回のツアーは、東京の旅行会社ビッグホリデーが企画。参加者は29日、韓国のコリア・エクスプレス・エア(KEA)が運航する50人乗りジェット機で福江空港をたち、約1時間で済州国際空港に到着。世界自然遺産や市場などを巡り、31日に福江空港に戻った。
 野口市長らは別日程で、済州特別自治道の副知事や済州市長、西帰浦(ソギポ)市長らを訪ね、今後の交流について意見交換。野口市長は帰国後、「直行便に乗り、近さを実感した。国内の都市から五島を経由して済州島に行くなどいろいろな展開ができそうだ」と話し、航空機が福江空港で燃料を補給できる施設などの整備も検討する考えを示した。
 一方、福江空港にはCIQ(税関、出入国管理、検疫)施設がなく、直行便で訪日客を誘致する上での課題の一つになっている。今回は長崎税関などと調整を重ね、職員を派遣してもらう形でチャーター便の運航にこぎ着けた。市幹部は「まだ課題はあるが、関係機関と今後につながる協力態勢が築けた」と手応えを話した。

済州島からチャーター機で帰国したツアー参加者ら=五島市、福江空港
西帰浦市長(右)と会談する野口市長=韓国・西帰浦市(五島市提供)

© 株式会社長崎新聞社