【きらりと光るわが社の〝得意技〟】〈テクノライジング〉医療用角度計の新型ゴニオメーター、アルミ素材で軽量・高精度

 テクノライジング(堺市北区、社長・水野敏雄氏)は、新タイプのゴニオメーター「カチカチゴニオ」(特許出願中)を開発・製品化し、医療分野へ参入した。

 ゴニオメーターは、理学療法士らが患者のリハビリで使用する角度計のことで、膝や肘など関節動作を直接計測できる計器。日本整形外科学会、日本リハビリテーション学会で定められた基準に則り制作した。

 同製品は、2016年8月から大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科の岩田晃准教授と共同で開発に着手。17年3月にテクノライジングとして「医療機器製造販売業」「医療機器製造業」の認可を得て、同年8月より試験販売を、2018年3月より本格販売を開始した。

 「『カチカチゴニオ』は新タイプのゴニオメーターだ。アルミ素材の採用で既存製品と比較して50%以上の軽量化を実現、耐久性に優れる。5度ごとの溝加工と本体軸側面に傾斜を付けたことで、5度ごとに『カチッ、カチッ』と静止する。これにより片手で簡単かつ正確に計測することが可能になった。理学療法士からは、『使い勝手が良い』と高い評価を受けている」(水野社長)。

 製品は長さ350ミリと200ミリの2種。標準価格は350ミリ品が2万5千円、200ミリ品が2万2千円。学生、教職者向けの特価販売制度がある。

 テクノライジングは2015年4月の設立。大阪府立大学発ベンチャー認定(第99号)を受けている。カチカチゴニオ以外の開発製品としては「木製トレーニングマシン用オイルダンパー」、「負荷調整機能付きトレーニングマシン用オイルダンパー」、「木造住宅用制振ダンパー・Windamper」、「低コストハイドロシリンダー」がある。

 テクノライジングはアルミ精密加工などを手掛けるテクノタイヨー(堺市東区、社長・水野敏雄氏)が自社製品を発売するために設立した。テクノタイヨーは1983年の設立で、パートを含む従業員数が48人。業務内容はアルミ・SUS・鉄・銅の精密加工、切削加工、アルミ押出加工品の追加工、組立加工、オイルダンバーの自社開発など。

 「テクノタイヨーでは大阪府立大学と共同で制振オイルダンパーを製品化した。オイルダンパーは設計・試作・量産まで一貫して行い、累計2万本を販売した。顧客ニーズに合わせて製品化できるのが、部品メーカーである当社の強み」(同)。

 15年7月にベトナム・ハノイ市に全額出資子会社を設立した。マシニングセンタ6台、CNC旋盤6台などを導入。「ベトナム人7人で産業機械・医療機器・光学機器部品などを委託生産している。テクノタイヨーの本業、テクノライジングの開発製品、そしてベトナムでの業容拡大を図ることで、22年8月期には現在の2・5倍相当の売上高10億円を目指したい」(同)と意気込む。(白木 毅俊)

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