中山製鋼所、検査結果の記載で圧延ロールで不適切行為

 中山製鋼所は31日、エンジニアリング本部で製造する鉄鋼や機械メーカー向けのロール製品の一部で、ロール納入先に提出した「検査成績表」に実際の検査結果と異なる数値を記載するなど不適切行為があったと発表した。

 同社は約70社のロール納入先に対してお詫びと説明を実施する一方、社内に社長直轄の危機管理本部を立ち上げ、再発防止に向けて不適切行為に及んだ経緯・原因などの検証・究明を進めている。

 同社の不適切行為は、ロールの硬度・成分・外層厚などの検査項目について、需要家と個別に取り決めた仕様と異なる数値が出た際に仕様数値内に収まる数値を検査結果として記載して納入していたほか、硬度の検査で需要家と取り決めていた検査箇所どおりに測定していなかった。また検査成績表に貼付する金属組織の顕微鏡写真で、同一材質の別製品から撮影した写真を貼付していた。

 現時点で納入先での生産への影響は確認されていない。

 同社のロール製品は棒鋼や線材の圧延ロールを主力に、形鋼、矯正、ドリルド、圧偏などの小型ロールで、鉄鋼の高炉、電炉、単圧メーカーや、非鉄金属メーカー、ゴムや繊維系建材メーカーなどに出荷している。年商や約7億円。ロールは納入後数年で表面形状が摩耗するため、需要家側で研削、肉盛、研磨などの再生加工をして使用している。

 同行為に関する社内調査(対象・2011年4月~18年9月に出荷された全製品)で判明した不適切行為による納入先は48社55事業所の合計約1万4千本。

 ロールの不適切行為は業界3位のクボタ、4位の淀川製鋼所などが公表しており、同8位の中山製鋼は自社の状況について確認作業を進める中で発覚した。

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