【脱力系ビジネス文庫の旅】ヒットの法則『矢沢永吉チルドレンな女たち』

「日常の疑問」や「あるある」、「ゆる~い思考法」などをビジネス書風視点でお届けするこのシリーズコラム。第一回目は、『ヒットの法則〝矢沢永吉チルドレンな女たち〟』の謎を解明します。

矢沢永吉チルドレンとは?

最近〝矢沢永吉チルドレン〟な女性と出会った。ルックスは抜群で顔はものすごくタイプなんだけど、もう〝矢沢永吉チルドレン〟というだけで、なんだか心がシャットダウンしてしまうのです。

あ、矢沢永吉チルドレンというのは、自分のことを名字で呼ぶ人。意外に女性に多いのです、これがどういうわけか。その代表が、〝モーニング娘。〟時代の矢口真里さんではないでしょうか。

「矢口いきまーす!」

「いや、矢口は無理!」

「矢口お腹すいたー!」

しかも彼女が凄いのは、一人称に名字だけではなく「おいら」まで用いていた時期があったという事実。

つまり〝矢沢永吉チルドレン〟だけではなく、〝ビートたけしチルドレン〟でもあるのです。

ただ、救いなのは「おいら」で食いとどまってくれたこと。もしこれが「オラ」にまで発展していたら、ドラゴンボールの〝孫悟空チルドレン〟にまでなっていた可能性があります。

「オッス! オラ矢口」

さすがにこれはいけません。アイドルとしてまずいのではないでしょうか。

一人称に名字を用いるのは、違和感の演出?

ところで、この一人称に「名字」を用いる心理をどう説明すればいいのか? やはりこれは、自分をブランド化したい、という願望の現れではないかと私は考えます。

それは〝矢沢永吉〟というカリスマを模倣することで、自分もその恩恵を受けたい、という単純な構図ではなく、自分自身を広告化して〝矢口いきまーす〟という引っ掛かりのあるフレーズ、つまりフックを用い多くの人たちに自分を印象付けたい、という心理が働いているのではないか。

そう、あえて違和感を演出。しかもこの違和感は知名度が低ければ低いほど、そこにギャップが生じ、「なぜ?」が生まれます。

『自分のことを名字で呼んでいいのは矢沢だけだろ。なぜ、こんな新人アイドルが!?』という疑問の創出。この『なぜ?』は良くも悪くも、訴求力が抜群で多くの人たちの興味を惹き付けます。

芸能界で売り出し中のアイドルが「ため口を利く生意気な私」や「天然」を演じるのも、この『なぜ?』効果を狙っての事。つまり〝売れるため〟のPR戦略の一環です。

事実、矢口さんは、知名度が上がるにつれ〝矢沢永吉チルドレン〟や〝ビートたけしチルドレン〟から卒業。自分のことを「私」と呼ぶようになりました。

一方、男性タレントは、この『なぜ』効果をあざとく利用したりはしません。基本〝笑い〟に転換します。かつて、とんねるずの石橋貴明さんも『イシバシ』を多用していましたが、そこには権威を揶揄しようというシニカルな文脈が含まれていたハズです。オードリーの春日さんもそう。

というわけで、自分を〝名字〟で呼ぶという行為は、ある意味、ヒットの法則。少なからず〝売れる為〟の後ろ盾になっているのは確かでしょう。

一般人が一人称に名字を用いるのはなぜ?

じゃあ、一般人の場合は何が目的なのか。この〝矢沢永吉チルドレン〟現象をどう説明すれば良いのでしょうか。

『自己顕示欲の現れ』

もちろんそんな風に結論付けるのは簡単ではありますが、私はあえてそれを否定します。他に何かある。きっと理由があるハズなのですが、やはり私には分からない。

ちなみに私が出会った〝矢沢永吉チルドレン〟な女性の名字は『岡本』さんと言うのですが、常にこんな感じであります。

「はーい。岡本もう一軒、飲み行きたーい」

「岡本ワインおかわり」

「岡本アヒージョ食べたーい」

いやいや。オカモトオカモトってコンドームメーカーか!

しかもアヒージョってなに? 人の金でオシャレなのばっか頼むな勘弁してよ。

とにかく、そんな〝矢沢永吉チルドレン〟な女性が私はとっても苦手なのです。

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