黒眼、邪眼、そして眠れる森の美女…暗黒帯を纏った「M64」

【本日の天体紹介:M64(NGC 4826)】

ハッブル宇宙望遠鏡の広域惑星カメラ「WFPC2」が捉えたのは、地球から約1700万光年のかみのけ座のα星近くに存在する「M64」です。

「M64」は18世紀にフランスの天文学者シャルル・メシエの「メシエカタログの64番」として追加された渦巻銀河。内側の明るい銀河の中心と、外側の光を吸収する塵の暗黒帯を持っており「黒眼銀河(Black eye galaxy)」の他に「邪眼銀河(Evil eye galaxy)」「眠れる森の美女銀河(Sleeping beauty galaxy)」などの異名を持っています。
内側と外側の渦はそれぞれ逆の方向に回転しており、それは2つの銀河が衝突したことが原因と考えられています。衝突した小さい銀河は既に衝突合体完全崩壊しているため、逆回転の外周を持ちつつも1つの銀河に見えています。

メシエ天体の中でも2番目に大きい「M64」は、双眼鏡でもその姿を確認することが可能。しかし特徴である暗黒帯を捉えるには大口径の望遠鏡が必要です。

Image Credit:NASA/ESA and The Hubble Heritage Team (AURA/STScI)
■An abrasive collision gives one galaxy a “black eye”
https://www.spacetelescope.org/images/opo0404a/

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