選挙でくじ引き!? もしも得票数が同じ場合、当選者はどう決めるのか

投票

10月21日に投開票が行われた京都府の大山崎町議会選で思わぬことが起きました。この選挙の定数は12でしたが、最後の12議席目に2人の候補が同数で並ぶ、つまり12位の候補者が2人いるという事態になりました。このような場合、一体どのように決着をつけるのでしょうか。

くじ引きによる当選者決定

公職選挙法第95条には「当選人を定めるに当り得票数が同じであるときは、選挙会において、選挙長がくじで定める。」と規程されています。つまり、今回の大山崎町議会選のような場合、くじによって当選者を決定することになります。
このようにくじで決着をつけると定められていますが、どのようなくじを引くかということは法的に定めはありません。このため、様々な方法のくじが見られます。比較的多いやり方は棒くじという方法で、大山崎町議会選でもこの方法が取られました。これは神社でのおみくじで見られるような、数字の記載された棒が入っている筒を振り、引いた数字によって当選を決めるというやり方です。今回の大山崎町議会選では、2本のくじを引き、1が書いてある棒を引いた方が当選というルールで行われました。このようなルール以外にも1から10までの10本のくじを引いて、小さい方を引いた方が当選というルールで実施した自治体も見られます。
このような棒くじ以外にも、福引で見られるようなガラポン抽選機を用いた事例や、2つの封筒を1つ選び、中に入っている紙に「当選」と書かれていた候補が当選という決め方をした事例もあります。面白い方法としては、候補者の届出番号を記載した紙を封筒に入れ、選挙長が立会人の見守る中、後ろ向きになって封筒から紙を引いて当選者を決定したという事例もあります。
なお、くじで負けた候補は普通の落選とは異なる扱いがされます。通常、現職が死亡や辞職などで欠員が生じた場合、3か月以内であれば、次点候補が繰り上げ当選となり、3か月以降の場合は欠員のままあるいは補欠選挙となります。しかし、くじで負けて次点となった場合は任期中に欠員が生じた場合、3か月以降でも繰り上げ当選の対象になるのです。このため、落選して1年以上経過して、繰り上げ当選となる事例もあります。このルールが適用された面白い事例としては、長野県の松本市議会選の事例があります。2007年の議会選でくじ引きで負けた候補がいましたが、残り任期20日の時点で繰り上げ当選となり、任期20日の議員が誕生したということがありました。

くじ引きの様々な事例

くじ引きまでもつれこむことは珍しいものの、人口が余り多くない自治体の議会選挙ではまれに見られます。珍しい事例としては2017年10月に石川県の七尾市議会選では次点候補が2人いましたが、現職市議が翌年1月に辞職したため、3か月以内の欠員となるため、繰り上げ当選の対象となりました。このため、この次点候補2人でくじを引いて、繰り上げ当選者を決定しました。
さらに珍しい事例では3人が同数の票で並んで、くじ引きとなったこともあります。2017年7月に行われた島根県の飯南町議会選では最後の2議席をめぐって、3人が同数の票で並びました。このときは1から3までの数字がかかれた3本の棒くじを用意し、3を引いた人が落選というルールで当選者を決定しました。

2連続でくじを引いた人

極めて珍しい事例としては、北海道の大樹町議会選のケースがあります。何と2003年と2007年の2連続で当選者を決めるためのくじ引きが行われたのです。2連続というだけでも珍しいのに、さらに珍しいことに2003、07年のいずれの選挙でもくじ引きの対象となった候補者がいたのです。この2連続でくじを引いた候補者は横山軍鬼氏という人物です。横山氏は2003年の町議会選でくじ引きによって落選し、2006年に現職議員が死亡したことによって、繰り上げ当選となりました。そして、横山氏は2007年の町議会選にも立候補しましたが、ここでもくじ引きとなり、今度は見事に当選を引き当てました。
なお、2007年の町議会選で横山氏と同数となったものの、くじで負けて落選となった候補ですが、現職議員が2008年に死亡したため、繰り上げ当選となりました。つまり、2連続くじ引きと繰り上げ当選が起きた選挙という非常に珍しい事例となっています。

© 選挙ドットコム株式会社