アルコール基準値4倍超でも禁固8月 日航副操縦士、29日に量刑言い渡し

By 太田清

乗務員の飲酒による法令違反について、記者会見で謝罪する日本航空の進俊則運航本部長(中央)ら=1日午後、国交省

 日航の男性副操縦士(42)の呼気から英国の運輸関連法令の基準値の10倍を超えるアルコールが検出され、英警察当局に逮捕された事件は、英国でも大きな反響を呼び、各メディアが主要ニュースとして報道。ガーディアンをはじめとする高級紙からデーリー・メールなどの大衆紙まで副操縦士の実名とともに事実を伝え、英国の公共放送BBCの電子版では一時、「最も読まれている記事」のトップとなった。 

 基準値の10倍を超えるほどのアルコールが検出されたという驚きの事実とともに、まじめで勤勉とみられている日本人パイロットが容疑者となったことも大きな関心を呼んだ理由かもしれない。 

 副操縦士はロンドンの治安裁判所に出廷し有罪を認め、29日にロンドンの刑事法院が副操縦士への量刑言い渡しを行う予定だが、BBCなどによると、英国では今年1月にも、同国のフラッグ・キャリアであるブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のパイロットから基準値の4倍を超える(3倍との報道もある)アルコールが検出される事件があり、パイロットが逮捕され、6月に禁固8月の判決を言い渡された。 

 逮捕されたのはジュリアン・モナハン元操縦士で、ホテルの部屋で空腹のままダブルで3杯に値するウオッカを飲んだ後、ロンドン発モーリシャス行きのボーイング777に搭乗しようとしたところ、離陸前に機体をチェックしていた整備担当者が酒臭い匂いに気付き警察に通報。モナハン元操縦士はその場で逮捕された。 

 約300人の乗客は搭乗を始めており、まさに離陸直前で“飲酒飛行”が回避された。同機は別のパイロットが搭乗し約2時間遅れで離陸。モナハン元操縦士は搭乗前の飲酒を認め、17年間務めたBAを解雇された。判決で裁判官は「乗客・乗員の安全はあなたの手の中にあったはずだ」とモナハン元操縦士を批判した。 (共同通信=太田清)

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