廃館撤回の訴え棄却/新渡戸記念館差し戻し審

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 2015年に廃館となった十和田市立新渡戸記念館を巡り、市による耐震診断に疑義があるとして、新渡戸家が市に同館廃止条例の取り消しを求めた訴訟の差し戻し審判決が2日、青森地裁であった。飯畑勝之裁判長は、条例制定の根拠となった市による耐震診断は適切で、「補強できず、取り壊すほかないとした判断が不合理とは言えない」として請求を棄却した。新渡戸家側は控訴する意向を示している。

 差し戻し審で同家側は、一審と同様、耐震診断の結果を左右した、同館外壁のコンクリートサンプルを再度採取し、強度試験を行うことを求める意見書を提出したが、却下された。

 飯畑裁判長は判決理由で、原告側が問題点を指摘した強度試験について「不合理な点は認められない」として、再調査は必要ないと判断した。

 その上で「市の財政状況や政策目的も踏まえれば、廃止の判断はやむを得ない。新渡戸家に与える不利益も大きいものとは言えない。廃館条例を制定した市の権限行使が、裁量権の逸脱または乱用とは言えない」とした。

 判決後、会見した原告で同館顧問の新渡戸明さん(76)は「残念だ。仙台高裁に上訴せざるを得ない」と述べた。

 一方、十和田市の小山田久市長は判決を受け「市側の主張が認められたものと認識している。詳細についてはまだ判決文の内容を確認していないので、コメントを差し控える」との談話を発表した。

 一審青森地裁は17年1月、同家には訴える資格がないとして同家の訴えを却下し、同家側は控訴。同年6月、二審仙台高裁は、廃止条例制定が同家の法的地位に影響するため訴えは適法-と判断し「廃止条例制定の違法性について審理を尽くすべき」と差し戻した。