【大学入試の改革】不安を抱かせない(11月3日)

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 大学入試改革の一環で、二〇二〇年度から大学入学共通テストが始まる。今の高校一年生が実施初年度に当たる。注目点の一つは英語の民間検定試験が導入されることだ。英語の四技能(読む・聞く・書く・話す)をどう伸ばすか。県内の教育現場でも大きな課題になる。国、県教委、高校は連携して受験生の学力向上と不安解消に努めるべきだ。

 認定された民間試験は英検やTOEIC、GTECなど七団体八種類。各試験の目的はビジネスや留学など多様で、高校の学習だけでは対応が難しい高度な試験もある。

 受験料は安くて約六千円、高いものは二万五千円を超える。入試に使えるのは原則として高校三年の四月から十二月までの二回分だが、準備で一、二年時から受ける高校生は多いと予想される。家庭の経済力で不公平が生じないか。県北地区の高校の進路指導部の担当教員は「六千円でも大変という家庭はある」と心配する。国は困窮世帯への支援を検討する必要がある。

 合否判定などに活用するかどうかは各大学に委ねられる。福島大は加点材料としての利用を決め、最大で満点の二割程度まで加点する方針を示した。早期に方針を打ち出したのは、受験生の側に立った賢明な判断と言える。

 県教委は今年度から「民間試験を活用した英語4技能向上事業」を実施している。民間試験に順応できるように、八月までにGTECを受けた三十二校の高校一年生約五千三百人に対し、受験費用を全額補助した。高校教育課は結果を分析し効果的な指導法を研究する。

 十月二十日に郡山市で開かれた「2020年入試改革を学ぶフォーラムinふくしま」で、予備校「東進ハイスクール」のカリスマ英語講師で知られる安河内哲也氏が講演した。「スピーキング(話す)を後回しにする限り、英語は永遠に上達しない」と断言し、対面の英会話を授業で実践するよう勧めた。

 安河内氏は日本だけの「受験英語」をなくし、世界的な評価に合わせるのが入試改革の目的だと見る。バランスの取れた英語力養成に向けた工夫が学校現場に求められる。併せて国語、数学で新たに行われる記述式問題は多面的な解釈、解法が鍵となる。

 大学入試センターは十、十一日に共通テストの本番を想定した試行調査を全国で行う。県内は七会場で、二、三年生合わせて約千二百人が参加する。家庭環境などに左右されない公平さをいかに担保するか。きめ細かな制度設計を望む。(浦山文夫)