陸自がテロリストに応射 対馬で国民保護訓練

 長崎県と対馬市は2日、対馬の上島で爆破テロが起き、住民を下島に避難させることを想定した国民保護訓練を同市内で実施した。訓練では、武装した国際テログループに住民の避難が妨害されたとして自衛官がテロリストに応射し住民と引き離す「避難妨害への対処」を県内で初めて行った。
 訓練は、テロリストが上島にある峰港(同市峰町)のイベント会場で自爆テロを起こし、数十人が死傷したと想定。国が国民保護法の「緊急対処事態」を認定し、上島の住民を下島に避難させる方針を示したとして、峰港などから住民役の県市職員を海路と空路で避難させた。
 「避難妨害への対処」は下島に向かう住民のバスが旧塩浦小(同市豊玉町)でテロリストの攻撃を受けたとして、陸上自衛隊対馬警備隊が出動。投降を呼び掛けても応じず、軽機関銃での発砲を受けたため、警察官職務執行法(第7条の武器使用)を準用し、同警備隊も軽機関銃で応射。テロリストを住民役の隊員から遠ざけ、バスを軽装甲車で護衛して避難誘導した。
 豊永孝文・県危機管理監は「住民をいかに迅速に避難させるかが重要。各機関の連携を一層図りたい」と講評。比田勝尚喜市長は「的確に対処され、大変頼もしく感じた」と述べた。
 国民保護訓練は県が国民保護法に基づき、2005年度から各市町で実施。今回は対馬市のほか陸海空の各自衛隊、対馬海上保安部など15機関計約150人が参加した。

発砲してきたテロリストへの応射訓練をする陸自対馬警備隊の隊員=対馬市豊玉町、旧塩浦小

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