部活顧問「したくない」46%「したい」54%、若手ほど肯定的…教員3千人分析

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公立中学校の教員は、若手ほど部活動指導で「教員としての資質が向上する」と考えているーー。名古屋大学の内田良・准教授(教育社会学)らが行った教員の部活動指導と働き方に関する調査でそんな傾向が明らかになった。

今回の調査の狙いは、文科省の調査などでは明らかになっていない「意識の部分」を浮き彫りにすることだった。内田氏は「若手はむしろ今までの教員文化と違う考え方をするだろうと思っていたので、この傾向は想定外」と話す。(編集部・出口絢)

●約46%、来年度の顧問「したくない」

調査は2017年11〜12月に実施し、全国22都道府県の公立中教員8112人にアンケート用紙を郵送。3982人から回答を得て、校長を除いた3182人を分析した。

その結果、約95%の教員が部活顧問に就いており、そのうち「来年度の部活動顧問をしたいか」の質問に約54%の教員が「したい」と答え、約46%の教員が「したくない」と答えた。

「部活顧問をストレスに感じるか」を尋ねたところ、約62%が「とても」「どちらかといえばあてはまる」と答えたが、一方で「顧問は楽しい」の質問に「とても」「どちらかといえばあてはまる」と答えた人も約60%いた。過酷な状況でも楽しく捉える教員が一定層いることがわかった。

この2つの質問を踏まえると、「ストレスを感じ、楽しくない」が約34%ともっとも多く、「ストレスを感じず楽しい」が約33%、「ストレスを感じ、楽しい」が約28%と教員の意識は大きく3つに分かれた。

年代別に見たところ、「顧問は楽しい」の質問に「とても」「どちらかといえばあてはまる」と答えた20代は74.3%に上った。年代が上がるにつれてその割合は低下し、50代では52.8%だった。

なぜ教員は多忙な状況にあっても、部活動をポジティブに捉えているのだろうか。20代〜50代の各年代を通じ約8割の教員が「部活動は生徒の就職や進学の役に立つ」と回答。「部活動指導によって、教員としての資質が向上する」という意識について尋ねたところ、20代の73.6%が「あてはまる」と回答。年代が上がるにつれその割合は低下し、50代は56.9%だった。

「部活動指導と教科指導の両方に秀でてこそ、一人前の職員だ」の質問に「あてはまる」と答えた割合も、20代が47.4%なのに対し50代は31.3%と年齢層が上がるにつれて下がった。

●やりがいある部活動にハマる構図

学校現場は、部活動に積極的な人が圧倒的に多いのではないか。そんな仮説を立てて調査したが、結果は約46%の教員が来年度の部活動顧問が「したくない」と答えた。内田氏は「職員室では部活動に対するポジティブな声が多いと聞くが、個々で尋ねると顧問をしたくない人も約半分いるというのは驚きだった」と話す。

若い世代の教員ほど「部活動指導によって、教員としての資質が向上する」、「部活動と教科指導の両方に秀でてこそ、一人前の職員」と考える割合が高かった。これについて内田氏は「部活動は指導を始めてみると、やりがいもあり楽しくてハマっていく。教師冥利を感じやすく、充実感を得ていることが背景にあるのではないか」と話す。

今回の調査で、若手教員ほど部活動立会時間が長いという結果も出ている。子どもたちのために一生懸命やることで、教師としてのアイデンティティがさらに強まるという構図だ。

部活動に対する思いが教員それぞれ違う中、働きすぎを防ぐためにどうしたら良いのだろうか。内田氏は「好きでやってるからいいと言うのでは解決しない。文科省や教育委員会、管理職が歯止めをかける必要がある。残業に歯止めがかかる制度を法的に整えていくことが大事だ」と指摘する。

詳しい調査結果は11月6日に発行される「調査報告 学校の部活動と働き方改革」(岩波ブックレット)にまとめられている。

(弁護士ドットコムニュース)

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